研究課題/領域番号 |
61010031
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 日出夫 東大, 応用微生物研究所, 助教授 (50013321)
|
研究分担者 |
梅沢 巖 北里研, 室長 (20072358)
国元 節子 微化研, 主任研究員 (10161655)
稲葉 実 癌研, 癌化療センター, 主任研究員 (60085636)
中村 昭四郎 広島大, 医, 教授 (40013304)
桑野 信彦 大分医大, 医, 教授 (80037431)
|
研究期間 (年度) |
1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
19,200千円 (直接経費: 19,200千円)
1986年度: 19,200千円 (直接経費: 19,200千円)
|
キーワード | 多剤耐性 / 耐性克服 / 制癌剤 |
研究概要 |
制癌剤耐性癌細胞の耐性機構を明らかにすると共に、耐性克服に有効な物質を探索した。多剤耐性の機構の研究から耐性細胞の細胞膜に出現する物質透過に関わると考えられるP-glycoproteinの重要性が明らかにされると共に、そのモノクローナル抗体が得られた。これは診断・治療に大きな意味があると考えられる。また、ヒト末期癌患者の腹水中より採取した癌細胞にP-glyco-proteinの発現していることを見出し、我々の基礎研究が臨床の問題とつながっていることを示した。 抗癌剤の効果を増強させることにより多剤耐性を克服するものを耐性細胞を用いてスクリーニングし、チオリダジン、クロールプロマジン等のカルモジュリン阻害性向精神剤、イソプレノイド類似体であるポリプレノイド、クロロキンなどのライソゾーム阻害剤、ビスコクラウリンアルカロイドであるセファランチン、抗マラリア薬であるキナクリンなどを得た。このうち、ポリプレノイド、セファランチン、キナクリンは耐性癌細胞移植マウスの実験系で他の抗癌剤と併用することにより耐性を克服することが認められ、今後に期待される。カデグオマイシンはin vitroでara-C耐性マウス乳癌FM3A,ヒト白血病K562,MOLT-3細胞の耐性を克服することを認め、その機構としてara-C不活化酵素であるdCMPデアミナーゼをカデグオマイシンが阻害するためであることを明らかにした。それ自身単独で多剤耐性細胞に有効なものとして、streptonigrin誘導体,Naphthazarin誘導体,Anthracyclin誘導体の合成を種々行い、特徴ある生物活性を有するものも得たが、動物実験も含め今後の検討が必要である。Neocarzinostatinを変化させたSmancsが、NCSよりもはるかに効果が強いことを認めた。このように耐性癌細胞に有効な物質をいくつか得ることができた。研究をいっそう深めることにより有用物質として開発されることが期待される。
|