研究課題/領域番号 |
61010035
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
喜納 勇 浜松医大, 医学部, 教授 (60010211)
|
研究分担者 |
渡辺 英伸 新潟大, 医学部, 教授 (70037381)
田原 栄一 広島大, 医学部, 教授 (00033986)
廣田 映五 国立がんセンター, 研究所, 室長 (50124425)
中村 恭一 筑波大, 基礎医学系, 教授 (70110492)
菅野 晴夫 癌研究会, 癌研究所, 所長 (10085615)
|
研究期間 (年度) |
1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
1986年度: 11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
|
キーワード | 胃癌 / 未分化癌 / びまん癌 / スキルス / 印環細胞癌 |
研究概要 |
胃未分化癌の発生の場は腺頸部増殖帯である。このことは、極微小未分化癌の連続標本により証明可能であった。そして発生した癌細胞は正常腺上皮の流れから逸脱し増殖し早期に腺頸部を破壊、消失せしめる。実験的にも、犬の胃に未分化癌を作製した結果、癌細胞は腺頸部の増殖帯に初発することがわかった。更に胃未分化癌は粘膜内癌へと進展すると、正常腺管を模倣し層分化を示す。これを組織化学的に検索すると、粘膜下半分に分布する癌細胞は幽門腺型粘液に類似し、表層部分はCEA陽性で、正常幽門腺表層細胞に類似していた。このことは癌細胞も粘膜固有層間質の微小環境の影響を受けているものと解釈された。胃未分化癌のうち1cm以下の小胃癌の粘膜環境を調べると、約2/3の症例で中間帯付近に発生し偽幽門腺化生を伴うような萎縮性の変化を受けている領域であった。 胃未分化癌はスキルス癌と髄様癌とに大別できるが、前者ではDNA量において異倍体のものが多く、髄様癌では2倍体のものが多かった。又、予後の点でも、スキルス癌は髄様癌より不良であった。未分化癌の大部分を占める直径6cm以上のびまん浸潤癌のリンパ管侵襲について調べると、全体が一様に微小癌胞巣からなる癌はリンパ管侵襲の程度が低く、索状から小腺管形成を示す癌胞巣と微小癌胞巣が混じっている癌ではリンパ管侵襲の程度が高かった。 胃癌全般にわたる研究として、TGFαとHa-rasP21の発現を免疫組織化学的に調べると、早期癌では発現率が低く、進行癌では発現率が高かった。予後との関係では、TGF-αとHa-rasP21両者が発現している胃癌では極めて予後不良であった。ひと胃癌からhstという新しい癌遺伝子を見いだした。また培養株胃癌細胞からコラーゲンα1(I)mRANがかなり多くあることを新たに見出した。
|