研究課題/領域番号 |
61010036
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 一正 名大, 医学部, 教授 (60023785)
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研究分担者 |
西條 長宏 国立がんセンター, 医長
福島 雅典 愛知県がんセンター, 研究員 (80107820)
秋山 伸一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60117413)
稲葉 実 (財)癌研究会癌化学療法センター, 主任研究員 (60085636)
上原 至雅 国立予防衛生研究所, 室長 (50160213)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1986年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
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キーワード | ブレオマイシン不活化酵素 / アンサマイシン系ハービマイシン / チロジンキナーゼ癌遺伝子群 / 抗腫瘍性プロスタグランジン / ダイハイドロピリジン誘導体 / セファランチン / DHFR遺伝子 / 多剤耐性ヒト癌KB変異株 |
研究概要 |
腫瘍細胞の低感受性機構を知る一つのモデルとして使用したチャイニーズハムスターの肺由来細胞株V79はブレオマイシン不活化酵素活性が高いことが確認された。この酵素の阻害を標的とした耐性克服方策を目ざして、その部分精製物を抗原としてモノクローナル抗体を作製し、比活性1260倍、分子量約300Kの酵素精製物を得た。他方、新しい作用機構をもつ抗生物質アンサマイシン系ハービマイシンはウイルス誘発ラット腫瘍NRK細胞でp60srcを,そして他の癌遺伝子のなかではチロジンキナーゼ癌遺伝子群を不活化することが認められた。更に、新たに抗腫瘍活性をもつプロスタグラン(PGA,PGT群)の開発に成功し、その各種ヒト癌細胞に対する効果において、それらは細胞内に能動的に取り込まれ、抗タンパクに結合し、DNAポソメラーゼβの著明な活性低下をおこす事実を認めた。一方、非抗癌剤の併用による耐性克服の実験レベルの面ではdihydropyridine誘導体であるAHC-52とよばれる物質がVCRとの併用によりp388/VCRに対してその耐性を克服可能なこと、そしてセファランチンが多剤耐性ヒト癌KB変異株のactive efflux能を完全に阻害することを認め臨床応用への可能性を示唆した。ヒト難治性腫瘍細胞株の試験管内薬剤感受性の検討では感性株と耐性株とではその感受性の差はそれほど大きくなく、投与量を2〜3倍増加させれば反応しうることが明らかとなった。臨床面では耐性機構の一つであるDHFR遺伝子につき新鮮腫瘍細胞で調べ、その増幅現象は比較的稀なことでその程度も数コピーの増加であることが判明した。また迅速試験管内薬剤感受性テストとしてATP発光法ではダウノマイシンに対する感受性が生体内での細胞減少率と比較的相関する傾向を認め、薬剤の予見性に資するものと思われた。治療面では肺小細胞癌症例の解析でCPA+VCR+ADR無効例にCDDP+VP16が有効な症例が認められ、症例の蓄積のなかで治療体系の確立をめざしている。
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