研究課題/領域番号 |
61010042
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 正夫 京大, 国立大学(その他), 教授 (20013857)
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研究分担者 |
吉田 廸弘 北海道大学, 理学部, 助教授 (60001765)
神田 尚俊 東京女子医科大, 学, 講師 (40075429)
福原 資郎 京都大学, 医学部, 助手 (40142301)
阿部 達生 京都府立医科大学, 教授 (60079746)
高井 新一郎 大阪大学, 医学部, 助教授 (80028513)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
1986年度: 15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
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キーワード | 発癌 / 突然変異 / 染色体異常 / 染色体再構成 / 癌遺伝子 / 遺伝子性腫瘍 / 白血病 / 遺伝子増幅 |
研究概要 |
本研究は、ヒトを中心にして、突然変異と染色体再構成に焦点を絞り、がんの発生と増殖の機構を追求してきた。先ず、腫瘍原性の突然変異の特性を明らかにする目的で網膜芽細胞腫患者206例で染色体分析を行った。欠失を含む13q14の構造異常は新生配偶子突然変異の8.4%を占め、その大部分が父方で起っていることが明らかとなった。多内分泌腺腫瘍症家系の123名でRFLPで主遺伝子の座位の同定を試みてきたが、現在のところまだ同定できていない。しかし範囲は絞られてきた。ウイルムス腫瘍では#1染色体の短腕の欠失が特異的染色体異常として観察された。また、前白血病変の中にも#5あるいは#7染色体の部分欠失が高頻度で観察され、ヒトの発癌に欠失型の突然変異がかなり一般的に関与している可能性が強く示唆された。色素性乾皮症の細胞でも紫外線でチオグアニン耐性突然変異(多くは欠失型突然変異)が多く誘発される。神経芽細胞腫は癌遺伝子N-mycの増幅が約40%の症例で認められた。いずれも【III】期および【IV】期の症例である。増幅は腫瘍発生の初期で既に起っており、増殖と共に増幅したものでないことがわかった。従って、ステージは移行性でなく、N-mycの増幅が類型の決定要因となっていることが示唆された。網膜芽細胞腫では23例中7例にN-mycの増幅が認められた。しかし、ステージや悪性度との関係は現在のところ不明である。ATL患者の末梢血リンパ球を直接法により染色体を調べた結果、10症例中8症例に14q11に切断点を持つ染色体転座が観察されATL発症のどこかの段階で14q11転座が重要な要因となっていることが示唆された。一方、Bリンパ球性腫瘍のうちt(14;18)転座では#18染色体上のbc1-2遺伝子の再構成と異常発現が認められた。また、t(14;6)転座では#6染色体の転座領域が単離され、その領域は広い生物種にわたって保有されることが分った。
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