研究課題/領域番号 |
61010048
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
近藤 宗平 近大, 公私立大学(その他), 教授 (20028278)
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研究分担者 |
西田 育巧 愛知県がんセンター, 分子生物部, 室長 (50107059)
牧野 鈴子 国立がんセンター研究所, 生化学部, 研究員 (60181624)
鈴木 文男 金沢大学, 薬学部, 助教授 (10019672)
石川 隆俊 癌研究所, 実験病理部, 部長 (30085633)
本庶 佑 京都大学, 医学部, 教授 (80090504)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
1986年度: 10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
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キーワード | 不死化;myc遺伝子 / ras遺伝子 / 初代細胞 / トランスホーメーション / 初期胎児組織 / ショウジョウバエの劣性腫瘍遺伝子 / IL-2レセプターの発現 |
研究概要 |
ゴールデンハムスター、マウス、ラット、スナネズミの胎児組織の培養から、非腫瘍性で無限増殖能を持つ細胞(不死化細胞)株を樹立する技法に習熟した。この技法では、初期培養細胞(初代細胞)をうまく増やすことから始める。腫瘍遺伝子rastmycのDNAの混合感染でハムスター、マウス、ラットの初代細胞はトランスホームし、不死化と造腫瘍性(ヌードマウスへの移植テストによる判定)を示した。しかし、ヒト胎児組織からの初代細胞は、丸見的にはトランスホームしたが、培養を続けるうちに死んだ。ヒト細胞の不死化は、至難に近いことを確認した。ラット胎児組織は、初期のものほど、rastmyc混合感染によるトランスホーメイションの効率がよかった。これは、初期の胎児組織ほど幹細胞を多く含んでいるので、「癌化のイニシエーションは幹細胞の突然変異による」という本研究班が提唱してきた作業仮説を支持する。初代細胞はほとんど全てras単独感染ではトランスホームしないが、不死化細胞は全てras単独感染でトランスホームした。しかし、myc感染のみでは不死化表現に不充分あることが、初代肝細胞をもちいた実験でわかった。マウス細胞株でIL-2の助けで不死化するのがあるが、そのとき必要なIL-2レセプターの発現にはレセプター以外の補助因子がいることがわかった。メダカでは、O-6メチルトランスフェラーゼ(DNA修復酵素)の活性が加齢とともに低下し、加齢にともなう発癌率の上昇がDNA修復低下と関連している可能性がでてきた。ショウジョウバエの強い発癌性の劣性遺伝子mbnまたはglのヘテロ接合型幼虫にX線照射すると、染色体組換えによりホモ接合の癌細胞が誕生した証拠があるにもかかわらず、癌死は起こらなかった。ヘテロ接合細胞の分泌する不死化抑制物質が、癌細胞の膜を通過して癌化を抑制している可能性を示唆する証拠をえた。
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