研究分担者 |
高橋 正治 京都大学, 医学部, 助教授 (00026931)
加納 永一 福井医科大学, 医学部, 教授 (70065910)
長尾 善光 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40027074)
堀 均 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (90119008)
西本 清一 京都大学, 工学部, 助教授 (10115909)
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研究概要 |
本研究の主目的は放射線増感剤開発の基礎的スクリーニング法の確立であり、そのスクリーニングシステムに乗せた増感剤の合成開発とそれによる癌の放射線治療の向上を最終目標としている。そこで本研究ではin vitro浮遊細胞系,Spheroid系,in vivo-in vitro assay系およびin vivo担癌動物系という一連の検定系を実施することにした。更に細胞系の統一も検討されin vitro系ではSpheroid及びin vivo-in vitro assayが可能なEMT6細胞を採用し、in vivo担癌動物ではSCC【VII】とMeth A腫瘍を軸としてassayして行くことになった。加納はEMT6細胞を用いてHypoxic chamberによる一次スクリーニング法を確立し、高橋,母里はEMT6細胞を用いてSingle cell,Spheroid,固型腫瘍(in vivo-vitro assay)による一,二次スクリーニング法を確立した。高橋はSCC【VII】腫瘍を用いたin vivo-in vitro assyも実施した。金子はMethA腫瘍を、中島はSCC【VII】腫瘍を用いて基礎的検討を行いgrowth delay assay法を確立した。合成側として西本,長尾はニトロアゾールに着目し数多くのニトロイミダゾール,ニトロトリアゾール化合物を合成し、スクリーニングの結果増感活性が確認された。更に各化合物の増感活性と分子特性との相関を検討した結果チミングリコール生成促進活性がin vitro増感活性と対応することが判明した。その他の分子特性,一電子還元電位,分配係数および薬物動態の検討より動物腫瘍中に取り込まれやすい構造が必須であると結論した。AK-2123はミソニダゾール同等の活性を有しかつ脳内濃度が低いため期待されている。RK,RP化合物は塩基部分が各々ニトロイミダゾール,トリアゾールで置換している又クレオシド誘導体でありin vitro,in vivo共に増感活性を示した。RK28はミソニダゾールよりも代謝速度が早く低毒性が期待される。以上61年度ではスクリーニングシステムがほぼ確立された状態にあり、62年度ではより安全で有効な増感剤の開発を目標とする。
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