研究分担者 |
山田 寛保 国立福岡中央病院, 外科, 医員
新本 稔 広島大学, 原医研外科, 助教授 (90034082)
藤田 昌英 大阪大学, 微生物研究所外科, 講師
坂井 保信 都立駒込病院, 化学療法科, 部長
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研究概要 |
SRCAで人癌材料を移植しての培養成功率は胃腸癌81%,乳癌76%,婦人科癌84%,泌尿器癌76%,肉腫77%などであり、134例中106例(79%)において投与した薬剤の感受性が判定可能であった。この成績は同じく人癌材料を用いるHuman Tumor Clonogenic Assay(HTCA)の約2倍の成功率であり、特に胃癌,肉腫での高い成功率が特記される。 薬剤の投与量はマウスの【LD_(10)】を基準として算定され、静注,皮下注,経口により投与された。移植6日後に対照群と投与群の腫瘍体積の差により,、投与した薬剤の感受性を判定する。 感受性を卵巣癌,肉腫,乳癌よりの検体で検討すると、アドリアマイシンは、それぞれ38%,37%,15%の有効率であり、シスプラチンは33%,63%,サイクロフォスファシドは60%,44%,18%と臨床での有効率と良く一致した。しかし乳癌ではやゝ低い有効率であり、これは腫瘍の発育速度の差による事が示唆された。 免疫抑制剤を投与して、宿主の免疫反応を押え、より長期に腫瘍を発育させる条件が研究された。サイクロフォスファシドは前投与の必要があり、臨床応用が困難である。サイクロスポリンは同時投与可能の利点があるが、毒性と高価である事が欠点となる。ブレデイニンも同時投与可能であり、コストもより低いが、比較的大量の薬剤を必要とする。いずれも一長一短あり、今後の研究課題である。 SRCAは培養成功率の高い優れた感受性テストとなる条件を有している。しかし宿主であるマウスの免疫反応の抑制方去、効果判定の方去など研究すべき課題が多い。これらを1つ1つ解決し、信頼性の高い、臨床相関の高い感受性テストとなるよう研究を推進する。
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