研究課題/領域番号 |
61010090
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
下里 幸雄 国立がんセ, その他, 研究員 (10076979)
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研究分担者 |
勝山 努 信州大学, 医学部附属病院・中央検査部病理, 助教授 (90020809)
山口 和克 東京大学, 医学部・病理学教室, 助教授 (10009988)
土屋 永寿 癌研究所, 病理部, 研究員 (00072314)
木村 雄二 筑波大学, 医学専門学群・病理学教室, 講師 (00100115)
鈴木 隆一郎 大阪成人病センター, 調査部・疫学課, 課長
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
1986年度: 10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
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キーワード | ヒトの肺 / 腺癌 / 喫煙 / クララ細胞 / 【II】型肺胞上皮細胞 / 表面活性物質アポ蛋白 / 免疫組織化学 / 増殖 |
研究概要 |
肺腺癌158例について喫煙との関係を検討した結果、男性の低・中分化型と女性の低分化型では喫煙の相対危険は8倍以上、帰属危険は70%以上で扁平上皮癌のそれにほぼ匹敵するものであった。しかし男性の高分化型と女性の高・中分化型では相対危険が2〜4倍、帰属危険が16〜56%であった。 肺表面活性物質アポ蛋白(SAP)に対するモノクローナル抗体PE-10を用いた免疫組織化学的検討では、SAPは肺の腺癌以外の癌や肺以外の悪性腫瘍には認められず、肺腺癌の75例中36例(48%)に認められ、肺腺癌に特異的なマーカーであった。その陽性率と分化度には相関はなかった。しかし、光顕的に【II】型肺胞上皮への分化を示す癌以外にクララ型と考えられる癌細胞の核内管状封入体にも認められたので、(1)【II】型肺胞上皮細胞とクララ細胞とは密接な関係にある、(2)SAPは【II】型肺胞上皮細胞とその腫瘍に特異的ではない、の何れかの可能性が示された。 間葉系細胞に特異的とされたvimentinは中皮腫のみならず、低・中分化腺癌,大細胞癌の20〜25%に認められた。 Bromodeoxyuridineとこれに対する抗体を用いた免疫組織化学的検討では、DNA合成期にある癌細胞の頻度は小細胞癌と扁平上皮癌では高くかつ比較的狭い範囲にあったが、腺癌では0.1〜19.2%と広い範囲にあった。つまり、腺癌の中には増殖の極めて緩慢なものから著しく速いものまであることが示された。なおクララ型腺癌では腫瘍の発育速度は核の容積と相関し、瘢痕を形成しないものに限ると腫瘍の大きさと線維化が相関した。 腺癌の発生には異型腺腫様増殖巣が重視されるべきこと、線維化を示す肺では正常部との境界域が好発部位であることが示された。 今後は多数の培養株を樹立し研究を進める必要性があると考える。
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