研究課題/領域番号 |
61010092
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
新田 和男 国立がんセ, その他, その他 (00072851)
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研究分担者 |
藤原 大美 大阪大学, 医学部・癌研・腫瘍発生学部門, 助教授 (70116094)
渡辺 昌 国立がんセンター研究所, 疫学部, 部長 (60051637)
岩口 孝雄 東京都臨床医学総合研究所, 化学療法部, 部長 (40085634)
中村 玲子 国立予防衛生研究所, 細胞免疫部, 室長 (10072901)
細川 真澄男 北海道大学, 医学部・癌研・病理部門, 助教授 (20001901)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
1986年度: 14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
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キーワード | 癌薬物療法 / 癌免疫増強 / 細胞電気泳動 / T-T細胞相互作用 / 細胞障害性T細胞分化誘導因子 / T領域組織球 / 腫瘍内浸潤細胞 / 補体 |
研究概要 |
当班の研究目的は、癌薬物療法に伴う宿主の抗腫瘍エフェクター(Eff)及びサプレッサー(Sup)の動態を明らかにし、免疫増強をはかることにある。 マウス脾中に誘導されるSup細胞は細胞泳動法で泳動度の低いasialo【GM_1】陽性細胞であることをつきとめ、このSup細胞は5FU,6MPなどで誘導が抑えられた。また、マウスのSupT細胞の誘導は抗I-【J^+】抗体のin vivo投与で阻害され、更にI-【J^+】抗原提示細胞(APC)をブロックするとI-【A^+】APCによる細胞傷害性T細胞(CTL)誘導が増強された。ペプロマイシンによる抗癌免疫の増強がWinn assayで確認され、ブイオマイシン(BLM)が担癌生体のEff活性を増強するだけでなく、癌細胞側のEffに対する感受性を高めてBLMのin vivoの直接癌細胞傷害効果を補完することを明らかにした。一方、CTL分化誘導因子(CGF)を精製し、単一バンドを与える物質として得た。この因子はマクロファージ存在下でIL-2リセプター陽性細胞に作用しIL-2リセプターの発現を促進することを証明した。腫瘍細胞が静脈内に入ると、Effクローンの抹消を受け宿主の抗腫瘍免疫応答が著明に抑制されるが、6カ月後に骨髄から新しいEffクローンが供給され、この期間はT-T細胞相互作用による抗腫瘍免疫増強法で6カ月から2カ月に著明に短縮できた。Eff細胞による腫瘍細胞傷害作用に、既知の傷害作用とは異り補体成分C3bのリセプターが関与した細胞傷害反応のあることを明らかにし、また、腫瘍細胞にワクチニアウイルスを感染させると、細胞膜上の自己補体抑制因子の機能を障害して自己補体との反応性を発現することにより、腫瘍免疫が高まることを示した。ヒトの肺癌患者で、T領域組織球の癌病巣への浸潤程度が予後に密接に関係していることをつきとめ、その前駆細胞はS【100^+】リンパ球らしいことを示した。以上のように、本年度の成果は、概ね所期の目標に近いといえる。
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