研究課題/領域番号 |
61010094
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
田ノ岡 宏 国立がんセ, その他, 教授 (90076969)
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研究分担者 |
宗像 信生 国立がんセンター研究所, 放射線研究部, 室長 (50100152)
許 南浩 東京大学医科学研究所, 癌細胞研究部, 助手 (70173573)
武部 啓 京都大学, 医学部, 教授 (10028318)
平嶋 邦猛 埼玉医科大学, 第一内科, 教授 (00165169)
佐渡 敏彦 放射線医学総合研究所, 生理病理部, 室長 (20162513)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
18,900千円 (直接経費: 18,900千円)
1986年度: 18,900千円 (直接経費: 18,900千円)
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キーワード | DNA分子損傷 / DNA修復 / 発癌 / 放射線 / アルキル化剤 / 癌の細胞起源 / 発癌抑制 / 修復遺伝子 |
研究概要 |
DNAの分子損傷から個体における発がんまでの過程について次のような結果を得た。1.)マウス個体をガンマ線照射したのち摘出した肝のDNAに新しい型の分子損傷8-OH-dGが照射線量に比例して生じていることを発見した。さらに8-OH-dGはマウスにおいて除去修復を受けることが明らかにされた。2.)アルキル化DNA損傷に対する修復機構について、常備されている修復酵素と誘導されて生産される修復酵素をそれぞれ欠損する変異株を枯草菌において見出した。またアルキル化剤に超感受性の線虫を見出した。さらにエチル化剤に高感受性のラット線維芽細胞では、エチル化剤による癌化率も高いことを見出した。一方、MNNG,UV,SV40,H-rasなどで癌化させたマウスNIH/3T3細胞のアルキル化剤に対する感受性をみたところ、癌化とアルキル化剤感受性との相関はみられなかった。3.)突然変異誘発に関与するSOS修復を増強する作用をもつ遺伝子mucの必須遺伝子部をクローニングしその塩基配列を決定した。また多種の欠損mucをとり機能欠損との関係を明らかにした。4.)ヒト色素性乾皮症(A型)の培養線維芽細胞のUV高感受性を正常にもどすようなマウスDNA断片をとり、このDNA修復遺伝子を含む部分をクローニングした。一方、CHO細胞の放射線、MMCに対する高感受性を正常にもどすようなヒト修復遺伝子を含むDNAを得た。5.)マウス皮膚は1回のベータ線照射では発癌しにくいが、反復照射によって100%発癌しうることを見出した。与えた線量よりも反復頻度が決定要因であった。6.)放射線によるマウス胸腺型白血病誘発では骨髄移植によって癌化細胞の発現を抑制できるが、このときに移植細胞と宿主細胞との置き換えがおこっていることを細胞マーカーを利用して見出した。次年度は、これらの端緒となった知見をさらに堀り下げて個体における発がん性DNA損傷の発現機構を明らかにしていきたい。
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