研究課題/領域番号 |
61015016
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
名取 俊二 東大, 薬学部, 教授 (50012662)
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研究分担者 |
駒野 宏人 東大, 医学部, 助手 (40170378)
上野 孝治 東大, 薬学部, 助手 (10143504)
中西 義信 東大, 薬学部, 助手 (40172358)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1986年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | マクロファージ / TKF / TNF / 細胞傷害性蛋白 / リセプター / L929 / J774.1 |
研究概要 |
この研究は、マウスマクロファージ様株化細胞J774.1を、センチニクバエレクチンで刺激した時に、培養液中に放出される腫瘍特異的な細胞傷害性蛋白(Tumor Killing Factor,以下TKFと略す)に関するものである。この蛋白は、そのトリプシン分解物のアミノ酸配列の解析から、腫瘍壊死因子(TNF)と類似の蛋白と考えられる。マウスの腫瘍細胞株の中には、TKFに感受性で低濃度のTKFで細胞が溶解するものと、非感受性で高濃度のTKFにも応答しないものがある。本年度は、このような選択毒性がどのような機構で発現するかを中心に解析した。まず、細胞表面のTKFリセプターの解析を行なった。J774.1細胞の培養上清からTKFを単一蛋白として精製し、これをin vitroにおいて、【^(125)I】で標識する。このようにして得られるTKFは、61%の生物活性を有していた。この標識TKFと種々の腫瘍細胞との結合を調べると、感受性細胞、非感受性細胞を問わず、TKFのリセプターの存在が認められた。ただし、そのリセプターの数は、感受性細胞では細胞1個当り2000-9000個、非感受性細胞では500-1200個と、一般に非感受性細胞の方が少なかった。しかし、このリセプターの数の差だけでは選択毒性は説明がつかない。そこで、典型的な感受性細胞であるL929細胞を使い、標識TKFの取り込みを調べた。その結果、L929はTKFを取り込むが、サイトカラシンDやコルセミドといった薬物存在下には、TKFに対する感受性が低下することがわかった。この事実は、TKFを含むエンドゾームとリンゾームの融合がおこらなければ、TKFの毒性は発現されないことを示唆する。事実、L929細胞中ではTKFの速やかな分解が認められるが、非感受性細胞中ではTKFの分解は見られなかった。このことから、TKFの分解産物の中に毒性の本体があり、非感受性細胞ではTKFの分解がないために毒性が現れない可能性が考えられる。
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