研究概要 |
二層軟寒天培養法は、コロニー形成能を持つ腫瘍細胞を選択的に培養できるとしてヒト腫瘍の制癌剤感受性試験法Human Tumor Clonogenic Assay(HTCA)に応用されてきた。国際的な多施設で行なわれてきたHTCAはしかし、その低いコロニー形成率0.01〜0.0001%や手技的問題が多く、僅かに20〜30%の判定可能率を示すに過ぎないことが示されてきた。研究代表者谷川は、二層軟寒天培養法と【^3H】サイミディン摂取能を指標に腫瘍細胞のDNA合成能測定をHybridしたScintillation Assay(SA)を開発して1982年よHTCAと対比しながら検討してきた。このSAの改良系は現在NCI新制癌剤スクリーニング系にHTCAに代わって用いられている。本研究においてHTCA671例、SA383例の各種悪性腫瘍について検討してきた。判定可能率はHTCA59%,SA60%,臨床反応との相関性はHTCA41症例63回、SA32症例44回の相関においてtrue positive rateはHTCA52%,SA40%,true negative rateはHTCA95%、SA88%と凡そ同様の予言性を示している。これらの結果は、感受性判定に際して腫瘍細胞群をコロニー形成細胞のみに限定する必要の無いことを示唆している。またこれら臨床相関を臓器別、制癌剤別にそれぞれ検討するとMMC(3μg/ml)、5FU(10μg/ml)が至適in vitro濃度に比して格段に高いことが明らかとなった。SAの改良に向けてThymidine非含有培養液の使用,Agaroseの使用,Insuline・Hydrocortisone・EGFからなるHormone mixtureの使用,そしてlabeling effciencyからみて16mm dishの使用などが、判定可能率向上に極めて有用であることを実験的に明確にした。In vivo系として近年注目されているSubrenal Capsule Assayは判定時期の6日目には殆ど腫瘍細胞が死滅しており理論的裏付けに欠け、MTT、ATP Assayでは、線維芽細胞をはじめとした非腫瘍細胞との鑑別が不可能であり、各試験法の対象細胞群の明確化を次の研究課題とする。
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