研究課題/領域番号 |
61015031
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
日高 弘義 三重大, 医学部, 教授 (80100171)
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研究分担者 |
中 充子 三重大学, 医学部, 助手 (10093139)
田中 利男 三重大学, 医学部, 講師 (00135443)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1986年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | Cキナーゼ / チロシンキナーゼ / 細胞増殖 / 発癌プロモーター |
研究概要 |
Cキナーゼとチロシンキナーゼはともに細胞増殖機構において、重要な役割を担うと考えられている。我々はこの二つの蛋白質リン酸化反応の意義を解明するため以下の研究を行った。1).チロシンキナーゼ阻害剤の検索:環状ヌクレオチド依存性蛋白質リン酸化酵素の活性中心がPP【60^(src)】らチロシンキナーゼの活性中心に類似するとの報告により環状ヌクレオチド依存性蛋白質リン酸化酵素阻害剤H-8とその誘導体のPP【60^(src)】、PP【130^(fps)】等への作用を検討した結果、H-8を始めとするイソキノリンスルフォナマイト誘導体はいずれも弱いチロシンキナーゼ阻害作用しか有せず、環状ヌクレオチド依存性酵素とチロシンキナーゼのATP結合部位の差異が示唆された。2) Cキナーゼ活性化機構と細胞増殖:発癌プロモーターTPAがCキナーゼの受容体と関連することが近年明らかとなっているが、我々はTPAとリン脂質の複合体がCキナーゼを急速に失活させ得ることを見出した。この反応はATPあるいはCキナーゼのATP結合部位に結合するH-7の共存下では起り難い。この反応とTPAの発癌作用との関連を更に検討していく必要がある。3) Cキナーゼ阻害剤H-7の抗癌作用の検討:Cキナーゼは血小板や膵細胞の顆粒放出反応に関与することが知られている。我々はp388白血病細胞が取込んだ抗癌剤ビンクリスチンがTPA刺激により、細胞外へ放出されることを見出した。この反応にもCキナーゼが重要な役割を果す可能性が推察されたので、Cキナーゼ阻害剤H-7をこの白血病細胞の培養液に添加したところ、ビンクリスチンの放出が阻害された。以上のことより、Cキナーゼ阻害剤H-7はビンクリスチンと併用することにより白血病細胞内のビンクリスチン濃度を高める作用を有し、今後臨床薬として応用し得る可能性が示唆された。
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