研究課題/領域番号 |
61015035
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武部 啓 京大, 医学部, 教授 (10028318)
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研究分担者 |
宮越 順二 京都大学, 医学部, 助手 (70121572)
三谷 啓志 京都大学, 医学部, 助手 (70181922)
巽 紘一 京都大学, 医学部, 助教授 (30131022)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
1986年度: 9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
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キーワード | DNA修復 / 紫外線 / 色素性軟皮症 / 遺伝 / 突然変異 |
研究概要 |
研究目的 DNA損傷は発がんのイニシエーションに重要な役割を果していると考えられる。したがってDNA損傷を修復する機能は、発がんの抑制に働くと期待される。本研究はヒトおよび実験動物のDNA損傷の修復に関与している遺伝子の働きを明らかにし、それらがどのようにして発がんの抑制に関与しているかを明らかにしたい。主な研究成果は以下の3項である。 1.常染色体性劣性遺伝様式の高発がん性遺伝病の突然変異 色素性軟皮症患者細胞は、正常人細胞にくらべ、紫外線による突然変異誘発が著しく高い。中でも遺伝的相補性群Aに属する患者細胞は、C群にくらべても高く、生存率を横軸にとると、正常人とC群は重なり合うのに、A群は、それより突然変異が高くなる。このことは、A群では、DNA損傷の修復遺伝子が少なくとも2個あり、1個は致死および突然変異をもたらすような損傷に働き、もう1個は致死損傷のみに働く可能性を示したと考えられる。 2.マウスにおける発がんに関与している修復遺伝子 近紫外光でマウスに発がんさせ、生じた皮膚がん細胞の悪性度を調べたら40個中に38個(95%)が悪性であった。そのうち、1個から生育させた細胞クローンは紫外線に高感受性で、DNA修復能が低下している可能性がある。生体外でいろいろな方法でトランスフォームさせたNIH3T3細胞47クローンから、ACNUに高感受性を示すクローンが6つみつかった。しかしACNU感受性と、【O^6】-メチルグアニンメチルトランスフェラーゼの活性、MNNG感受性、軟寒天中の生育などの指標は相関がみられなかった。 3.ヘテロ保因者は高発がん性か? 常染色体性劣性遺伝様式の高発がん性遺伝病患者の両親は、その遺伝子を1個保有するヘテロ保因者と考えられる。今のところ日本の色素性軟皮症の保因者の高発がん性はみられなかった。
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