研究概要 |
1まず非定型性白血病を主とする急性非リンパ性白血病(ANLLと略)未治療26例、多剤併用施行例17例、及びMDS12例に対するAra-C少量療法の臨床効果を検討し下の結果を得た。(1)未治療のANLLに有効で、FAB分類の【M_1】,【M_2】に高い寛解率(70%,85.7%)を得た。寛解,非寛解症例間に骨髄のNCC,芽球百分率、芽球実数に有意の差を認めない。一方、既治療例では寛解率は低い(29.4%)。寛解期間は、未治療例では3〜17カ月(中央値8カ月)、既治療例では8〜23カ月(中央値12カ月)であった。生存期間は全例、寛解症例、非寛解症例順に未治療例16カ月,22カ月,4カ月(寛解、非寛解の差は有意P=0.0005)、既治療例4カ月,23カ月,3カ月(寛解,非寛解の差は有意P=0.0072)であった。(2)MDS症例に対しては、完全寛解、12%,不完全寛解、50%であった。寛解期間は2〜12カ月(中央値6カ月)、生存期間は全例,寛解,非寛解期間別に31カ月,31カ月,6カ月(寛解,非寛解の差は有意でないP=0.1439)であった。上記の結果からAra-C少量療法は、未治療の非定型性白血病に有効性が示されたがMDSに対する有効性は更に多数例の検討が必要である。2MDSに対する有効な治療を開発する為1α(OH)【D_3】(9μg/day)Ara-C少量(10mg/【m^2】SC twice a day)併用療法の臨床的有用性を少数例につき検討した。上記の3日投与,4日休薬を繰り返すことにより5例中3例に寛解を得た。上記投与法により1α25【(OH)_2】【D_3】の血中濃度は3〜4日目に100〜120Pg/mlとなった。3各種分化誘導剤の分化能を増強する因子についてHL-60細胞を用いて検討し、細胞内Ca mabilizationを抑制する高濃度verapamilやTMB-8、又、protein kinase C活性阻害剤であるstauro sporineが分化増強効果を示すことを見い出した。4HL-60細胞の分化誘導機構をcommitmentとphenotype expressionの時期に分け観察し、commitmentを生ずる細胞内因子の存在について報告した。
|