研究課題/領域番号 |
61015045
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
筏 義人 京大, 国立大学(その他), 教授 (00025909)
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研究分担者 |
岩田 博夫 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 研究員 (30160120)
林 寿郎 京都大学, 医用高分子研究センター, 助教授 (90026089)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1986年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | マクロファージ / 貪食 / 抗腫瘍活性化 / 生体吸収性高分子微粒子 / 免疫賦活剤 / ゼラチンコーティング |
研究概要 |
複合用高分子として、種々の分子量をもつポリ乳酸,ポリグリコール酸,および種々の共重合体組成をもつそれらの共重合体を合成した。免疫賦活剤としてムラミルジペプチドの脂溶性誘導体を用いた。これらの複合用高分子を用いて免疫賦活剤-高分子複合微粒子を調整し、高分子複合微粒子からの免疫賦活剤の徐放挙動を調べた。徐放期間は、複合用高分子の分子量および共重合体組成を変えることでコントロール可能であった。種々の高分子複合微粒子は、疎水性表面のため、マクロファージ(Mφ)に容易に貪食された。そして、貪食された微粒子は、Mφ内において消化分解されていくことも電子顕微鏡観察により確かめた。これら高分子複合微粒子によるMφのin vitro抗腫瘍活性化を調べた。Mφは、マウス腹腔より採取した。その結果、免疫賦活剤を微粒子に包含することで免疫賦活剤単独に比較して、数千分の一という少ない量で、しかも短時間でMφを活性化でき、その抗腫瘍活性を長期間維持させることができた。また、その活性持続期間は、用いた複合用高分子の分子量および共重合体組成により変化し、免疫賦活剤の徐放期間との間によい一致が認められた。これは、Mφに貪食された微粒子が分解され、それにともない免疫賦活剤がMφ内部で徐放されたためであると考えられる。また、ゼラチンで微粒子をコーティングすることにより、Mφによる微粒子の貪食は促進され、それにともないMφの抗腫瘍活性も増強した。移植腹水癌をもつマウスを用いて免疫賦活剤-高分子複合微粒子の腹腔内投与による治療効果を検討した。その結果、対照群(PBS投与と空の微粒子投与)では30日までにすべてのマウスが死亡したが、微粒子投与群では、移植120日後においても60%のマウスが生存しており、in vivoにおける免疫賦活剤-高分子複合微粒子の有効性を確認した。
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