研究課題/領域番号 |
61015071
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
山元 弘 高知医大, 医学部, 助教授 (50127312)
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研究分担者 |
荒木 清典 高知医科大学, 医学部, 助手 (60151156)
藤本 重義 高知医科大学, 医学部, 教授 (00009151)
高田 優 高知医科大学, 医学部, 助手 (80136374)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1986年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 腫瘍特異抗原 / モノクロナル抗体 / 抗イディオタイプ抗体 / 免疫学的抗腫瘍抵抗性 |
研究概要 |
腫瘍細胞に特異的なモノクロナル抗体(MAb)が多数樹立され、腫瘍の早期診断や腫瘍抗原の生化学的解析に利用されている。しかし生体が持つ免疫学的腫瘍抵抗性は、主としてT細胞系による細胞性免疫が果たしており、MAbによって検出できる抗原系が宿主に免疫学的抵抗性を誘導する抗原とはならない場合が多い。一方、MAbを免疫して得られる抗一抗体中には、MAb上のイディオタイプ(Id)に特異的な抗Id抗体が含まれる。抗Id抗体の可変郡領域は、元の腫瘍抗原決定基を反映する場合が多く、したがって、抗Id抗体を投与すれば、T細胞依存性の腫瘍抗原特異的免疫応答を惹起できる可能性がある。以上の根拠から、抗Id抗体による免疫学的抗腫瘍抵抗性の誘導を試みた。 1) 抗原の生化学的解析;A系マウス由来s1509a腫瘍に対する同系MAb9Bを用いて表面抗原の解析を行なった。その結果、15kd、89kd、96kdの三種の抗原が同定できた。MAb9Bは、他の腫瘍細胞にも弱いながらも交叉性を持つ。 2) MAb9Bに対する抗Id抗体:抗Id抗体をモルモットに得、正常マウス血清で徹底的に吸収した後、A系マウスに投与し、次いでS1509a生細胞を移植して腫瘍細胞の生育に及ぼす効果を調べた。抗Id抗体投与群では、著明な増殖抑制が認められ、完全退縮に至った。このマウスより得たリンパ球中には、強いキラーT細胞活性が検出できた。又、抗Id抗体投与により、S1509aに対する足蹠反応も誘導できることが判明した。一方、もう一つのMAb13Bは、S1509aに対し厳密な特異性を有するMAbである。MAb13Bに対する抗Id抗体は、MAb9Bとは異なり、S1509a腫瘍細胞の生育に対し全く効果を発揮し得なかった。以上のことより、抗Id抗体による免疫学的抗腫瘍抵抗性の誘導には、mAbにより認識される抗原決定基間に差異がある可能性と、抗Id抗体がもつ特異性にも厳密な異差がある可能性の二点が示唆された。
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