研究概要 |
癌胎児性抗原(CEA)は初めヒト内胚葉由来消化器癌組織に共通に出現する抗原物質として同定されたが、その後消化器以外の癌や非腫瘍性疾患でもCEAの上昇がみられ更にCEA関連抗原が正常組織中にも認められ、CEA遺伝子の発現の多様性が問題となった。我々はCEA蛋白部分に対する多くのモノクローナル抗体を確立した。次にこれらの材料をもとにCEAをコードするCDNA遺伝子のクローニングを行い、クローン化されたCDNAを用いて種々の癌細胞、正常組織でのCEA遺伝子の発現状態を検索することを試みた。 CEAを高度に産生しているヒト胃癌細胞株(MKN-45)よりmRNAを抽出し、in vitro translation assayとモノクローナル抗体により活性のあるmRNA分画を得た。このRNAよりcDNAを作製後、末端をEcoRIサイトとしてλg+11のベクターに組み込みcDNAライブラリーを作製した。λg+11発現ベクターによって得られたファージプラークをELISA法にてモノクローナル抗体で検索した。またCEA,NCA-2のアミノ酸配列について、CEAとNCA-2とで明らかにアミノ酸配列の異なる領域と共通の領域について14merの合成オリゴヌクレオチドを合成しプローブとして用いた。現在、CEAをコードしていると思われるいくつかのクローンを得たので解析中である。 (本研究遂行中、CEAをコードするcDNAクローンの単離とその塩基配列が他のグループより報告された。(S.Oikawa,H.Nakazato,G.Kosaki,Biochem,Biophys.Res.Comm.142(2).511-518,1987)。
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