研究課題/領域番号 |
61015084
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
甲木 孝人 熊本大, 医学部, 講師 (40040191)
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研究分担者 |
宗像 哲男 熊本大学, 医学部, 助手 (70182079)
小田 達也 熊本大学, 医学部, 助手 (60145307)
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | スマンクス / SMANCS / BRM(biological response modifier) / マクロファージの活性化 / CTL活性化 / ヘルパーTの活性化 |
研究概要 |
SMANCS(SX)はstyrene-maleic acid copolymer(SMA)と蛋白質抗癌剤NCSを結合させた高分子制癌剤であるが、SXは癌細胞に対する直接的制癌作用に加えて、生体の免疫活性を増強させる物質であることが明らかになった。その第1の証拠として、SX分子の特にSMAの部分にマクロファージ(Μφ)に対する活性化酸素放出誘導作用があることを見出した。すなわち、butyl-SMA,ethyl-SMA,H-SMAについて、それらSMAの化学構造をΜφにおける1)活性化酸素誘導活性、2)膜流動性低下活性、3)赤血球溶血作用を調べた結果、これら機能の活性化は相互によい相関が認められ、SMAのΜφ活性作用にはSMAの疎水的なアルキルエステル基が重要であることが示された。おそらく、Μφ活性作用の最も強いbutyl-SMAは直接的に細胞膜に作用し、膜流動性の低下とそれに共なう細胞膜のpurtarbationを誘発し、その結果、膜に依存するNADPH-Oxidaseを活性化させるものと推察された。第2の証拠としてSXの抗腫瘍活性発現に関与する細胞性免疫の解析を行った。SXで前処理6日後のC3H/HeマウスをEL-4細胞で免疫し、2週間後に脾単核細胞のEL-4に対する細胞障害性にもとずきCTL活性を測定した。他方、マウスあたりRL♂1細胞を【10^6】個皮下注射し、10日後の腫瘍の大きさを測定し、SX投与群における腫瘍抑制率をみた。その結果1)アロのリンパ球(EL-4)を免疫してCTLを誘導する際にSXを投与するとEL-4に対するCTLが有意に増大した。2)このSXの効果の発現にはThy【1^+】細胞或はLyt【2^+】細胞が不可欠で、Lyt【1^+】細胞はそれ程重要でなかった。以上の実験よりSXの細胞性免疫活性化にはHelper Tを介したCTLが重要であることが示唆された。以上からSXにはもとのNCSにはない新たなCTL生物活性が付与されたことを意味する。
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