研究課題/領域番号 |
61015095
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
奥村 康 順天堂大, 医学部, 教授 (50009700)
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研究分担者 |
八木田 秀雄 順天堂大学, 医学部・免疫学研究室, 助手 (30182306)
中内 啓光 順天堂大学, 医学部・免疫学研究室, 助手 (40175485)
熊谷 善博 順天堂大学, 医学部・免疫学研究室, 講師 (80175314)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1986年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | リンパ腫 / リンパ球の分化 / ホーミング / 分化抗原 / クローナリティー / T細胞レセプター遺伝子 / 免疫グロブリン遺伝子 |
研究概要 |
旧来の病理学的な解析に加え、近年、分子生物学的手法を用いてリンパ球系腫瘍の起源とクローナリティーの解析が可能となった。本来、T及びBリンパ球は、その多様な機能を発現するまでの分化過程において、他のリンパ球あるいはリンパ組識内環境との相互作用により、多くの細胞表面形質(phenotype)及び遺伝子発現(genotype)の変遷を伴う。未熟なリンパ球の変異により生じたリンパ腫においては、そのような本来の未熟リンパ球の性質により、腫瘍化の後に、同様なphenotype及びgenotypeの変化を起こしうることは容易に想像しうる。今回、我々は、AKRマウスに発生するウイルス性の胸腺細胞腫において、原発巣の胸腺内と転移巣のリンパ節内で、さらには胸腺内においても、同一クローン起源でありながら、Phenotype及びgenotypeの異なるsubcloneが生じていることを明らかにするとともに、末梢リンパ組織への転移の際に、胸腺-血流関門の他に、末梢リンパ組織自体にも、ある特定のphenotypeに対する選択機構が存在することを示した。また、SJLマウスに発生するリンパ腫は、その起源が定かではなかったが、今回、我々は、分子生物学的解析により、その起源はpreB細胞のクローナルな増殖にあり、腫瘍の大部分を占めるT細胞及びB細胞は反応性にポリクローナルに増殖していることを明らかにした。この時、SJLのpre B細胞腫瘍においては、phenotype及びgenotypeの変化を伴う成熟B細胞への分化は見られず、特定の分子段階に固定されていることが示された。以上の結果は、ヒトリンパ腫の発生と転移を考える上でも、宿主と腫瘍の相互作用を、腫瘍に対する宿主側の対応という片面からだけではなく、宿主の対応に対する腫瘍細胞の動態という側面からも把えるべきであることを強く示唆するものである。
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