研究概要 |
都市の快適性評価のなめの都市構成要因を遠隔計測データから抽出する方法を検討した。昭和60年度の東京都住民意識調査報告に基づき、快適性に関連する物的データを抽出し、それらを(a)遠隔計測データから抽出が可能と考えられる量、(a')抽出可能と考えられるが、遠隔計測法に工夫を要する量、(b)意味論的情報を必要とするため遠隔計測データのみからは抽出が困難と思われるもの、(C)遠隔計測データから直接的には抽出されない量に分類した。具体的には(a),(a')は、(a)アクセス可能水辺数,建物棟数密度,道路面積率,中高層化率,(a')森林面積率,農地面積率,自動車交通量,標高などである。本研究では、第一段階として、最初のカテゴリー(a)に属する物理量を遠隔計測データから抽出することを目標として研究を行った。 使用した遠隔計測データは航空写真を3原色に分解して量子化した多重分光画像である。1画素の大きさは地表で約0.9mの短形に対応している。画像の分散を用いて居住地と非居住地を分離し、さらに、居住地の住宅規模を分類できることが分った。これを用いて建物棟数密度や中高層化率を推定することができる。非居住地域については、分光特性を用いて、空地と緑地、水などが分類できることが分った。また、道路は直線的な構造に着目し、画像の分散の種々の方向への投影のうち最小値を与える方向から抽出が可能であることが分った。これらの処理は元々の画像に対して実行すると処理時間が膨大になる。これを避けるため分解能を低下させた圧縮画像について処理を行い必要に応じて高い分解能の画像で処理を行うという階層型処理法を開発した。抽出たれた各要素の面積は画素数を数えて推定できる。なお、戸建てと集団住宅の分離は観測時刻の異なる2画像から、熱慣性の違いを利用しても行うことができることが分った。
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