研究概要 |
各研究課題に分けて要約すると、以下のようになる。 1.既住洪水時の豪雨・洪水特性の調査 研究分担者が入手しやすい、淀川,木曽川,富士川で水文資料の収集と分析を行った。淀川水系では、約600個の台風資料をファイル化し、台風情報のあいまい性を考慮した予測方法を提案した。木曽川水系では、過去8出水の水文データのファイル化の御在所レーダー情報を用いた降雨域の広域的画像処理を行った。富士川水系では、過去4出水の水文,水理学的データを収集し、大出水がもたらす河床変動量を求めた。 2.流域モデルの構成 流域の斜面特性の分布が直接流出に及ぼす影響を探るため、試験地規模での斜面勾配,降雨強度,浸透能の分布,ならびに、その時間的変化について検討した。その結果、有効降雨に対する地形効果や表面流が受け持つ流出寄与域の概念を確認することができた。一方、実時間での洪水流出予測モデルとして、予測対象地点での必要時間を重視し、(【I】)重回帰式による数理統計学的方法と(【II】)貯留関数法とカルマンフィルタを結合させた物理的方法を適用し、結果を比較した。精度とプログラム化から見ると、(【I】)を洪水予報の1次情報,(【II】)を避難,警戒等の2次情報として用いることが効率的であろう。 3.豪雨発生モデルの構成と数値実験 ある想定された矩形流域を9個の部分流域に分割し、斜面では山腹斜面集中モデルを、河道ではKinematic Wave モデルを用いて流出特性を調べた。豪雨は、(【I】)流域と同じ大きさあるいは移動方向に3倍の降雨域を持つ場合と(【II】)Seeder-Freeder型の場合である。これによって、基本流域での、豪雨の移動,変動と洪水流出の関係を系統的に求めることができた。
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