研究概要 |
1985年9月19日メキシコ西海岸に発生したマグニチュード8.1の地震は、約400kmも隔った人口1800万人の首都メキシコ市において、建物の大量崩壊とそれにともなう多数の死傷者という大災害をもたらせた。本研究の目的は、約3週間にわたる現地調査に加えて、現地の新聞やテレビ報道などを長期間にわたって調査し、その結果からメキシコ都市震害の復旧過程と、経済社会的な2次災害の問題点を明らかにすることである。 現時点までに得られた主な調査・解析結果は次のとおりである。 1.上水道の導水管では34ケ所,主要配水管では167ケ所,2次配水管では、7,200ケ所の被害が発見された。この被害により供給量は、地震前の35【m^3】/秒から27.4【m^3】/秒に減少した。断水の影響は市内総人口の40%に及んだ。タンクローリーやビニール袋による清水の配給が緊急活動として実施された。復旧は、1日1万2千人を充当して組織的に行い、10月半ばまでの40日間で、ほぼ機能の回復を果たした。 2.電話局の崩壊のため交換手11名が死亡した他、メキシコ全土にわたり、国際電話の100%,メキシコ市の長距離電話の80%が途絶した。市内電話の被害は、大部分は利用者建物の倒壊によるもので、全加入者の4.3%に及んだ。1週間後には、国際・長距離電話用の無線搬送設備の仮設置を24時間体制で完了した。地震1ケ月後には、市内電話100%回復,長距離電話一部回復,国際電話約55%回復となった。クリスマス前までに、すべての電話サービスについて、ほぼ100%回復した。 3.電力供給施設については、変電所8ケ所,架空送電線5本,地中送電線2本において停電が発生した。系統切替操作等により約1時間で復旧を完了した。
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