研究課題/領域番号 |
61020038
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研究種目 |
自然災害特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
露木 利貞 鹿大, 理学部, 教授 (30041205)
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研究分担者 |
下川 悦郎 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60041670)
立川 正夫 鹿児島大学, 工学部, 教授 (90041516)
難波 直彦 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60041612)
元田 雄四郎 九州大学, 農学部, 教授 (50038311)
岩松 暉 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (80018663)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1986年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | シラス / 集中豪雨 / 斜面崩壊 / 鹿児島 / 火砕流堆積物 / 風化 / 崩壊周期 |
研究概要 |
1986年7月10日、梅雨末期の集中豪雨により、鹿児島市内のシラス崖で崩壊が発生し、死者18名にのぼる大きな災害が発生した。豪雨は、積雲の発生場所と移動方向が一致したために、鹿児島市中心部のごく局地に集中し、短時間に300mmを越すという特異なものであった。 鹿児島は過去2回のシラス災害多発期を経験しているが、従来は、シラス本体の浸食による災害と、シラスを覆う降下軽石層のすべりによる災害とが主であった。これに対し、今回の災害は風化シラスの表層すべりによるものが大部分であった。したがって、崩壊深はごく浅くほとんどが1m以下である。この表層の風下部には永年にわたる水や珪酸の供給により粘土鉱物が生成されており、また基質の細粒化も進んで、保水機能の高い層が形成されていた。下位の地山シラスは透水性が極めて悪く、この不連続面を境に崩壊が発生したのである。 さらに、崩壊は凹型斜面に多く発生しており、集水に適した地形構造が重要な因子となっているが、斜面上方における降下軽石層の存在の有無もまた集水に大きく影響している。前年の台風13号による倒木やそれに伴う亀裂の発生も、表層風化部への水の供給に大きな役割をはたした。 災害の主体が風化層の表層すべりであるということは、風化層の形成速度から崩壊の周期性を予測できるということを意味する。崩壊地の樹木の年令から推定して60〜70年経つと、風化層が臨界の厚さに達し崩壊が発生しているようである。すなわち、大木が繁茂し、一見安全そうに見える所が、次に崩壊する危険のある所である。
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