研究課題/領域番号 |
61025021
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研究種目 |
自然災害特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
川上 浩 信大, 工学部, 教授 (00020967)
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研究分担者 |
北原 龍二 信州大学, 教育学部, 教授 (20015390)
佐藤 修 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (00022624)
赤羽 貞幸 信州大学, 教育学部, 助教授 (40089090)
斎藤 豊 信州大学, 教育学部, 助教授 (40020581)
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研究期間 (年度) |
1987
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1986年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 地すべり / 第三紀層 / 凝灰岩 / 地質構造 / モンモリロナイト / 地下水水質 |
研究概要 |
昭和60年7月26日長野市地附山に発生した地すべりは、長野県北部の第三紀層地すべりの1つとみることができる。しかし、これまで地すべりを生じたことのない裾花凝灰岩の中で発生している。多量のモンモリロナイトを含む粘土の存在、直接の引きがねとなった多量の降雨があったとはいえ、何故この場所で地すべりが発生したかを、地質学・地球化学・土質工学の立場から検討した。また、都市内の災害で情報連絡・避難体制の新たな問題を社会学の立場から調査した。 地すべり地は、比高250m、南東向きの斜面であるが、この周辺の斜面にはNNE方向の3本の断層が存在する。断層にはさまれる西側部分は地疊状の構造をなし、東側の2本の断層ではさまれる部分は地溝状に落ち込んだ構造をなす。さらに、この東側部分はほぼ直交する別の3本の断層により切られている。このため地すべり地では、斜面上部と下部で受け盤、中央部で流れ盤をなし、中央部に軟弱な裾花凝灰岩中部層が存在することも相まって、地すべりを生じやすい地質構造をなしている。地下水の水質は、不動地では塩化物イオンが多いのに比し、地すべり地では硫酸イオンが増大しており、地すべりの地下水は過去に交換された可能性がある。さらに地下水のトリチウム測定から、地すべり地で地下水の多い所は1960年代の雨水により涵養されているとみられる。粘土鉱物の面では、モンモリロナイトはほぼNaで飽和された状態にあり、地下水中の塩化物の減少による土性変化はわずかである。都市型災害の問題として、避難時に60%の人が車を利用しているという車社会の現実、避難命令にもその根拠を説明して納得してもらう事の必要性が指摘できる。
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