研究課題/領域番号 |
61025024
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研究種目 |
自然災害特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
青木 治三 名大, 理学部, 教授 (20022569)
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研究分担者 |
木股 文昭 名古屋大学, 理学部, 教務職員 (10089849)
藤井 巖 名古屋大学, 理学部, 助手 (20022668)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 焼岳火山 / 地殻変動 / 局地水準網 / 傾斜変動ベクトル / 火山噴火予知 |
研究概要 |
焼岳噴火口の北東300m〜500m離れた中尾峠を挟んで、190m×70mの区域に10点からなる水準網を設け、1977年以降、毎年継続している局地水準測量を1986年度も行なった。今回、測量データの整理はプリンター付電卓で行ない、敏速な処理が可能となった。従来、この水準網が空間的に一様な傾斜変動を行っているものと仮定し、データ処理してきたが、今回は9年間の傾斜変動ベクトルの時間的変化、空間分布について解析した。解析では、水準網を8ケの三角形にわけ、それぞれ求まる傾動ベクトルをグルーピングすることにより、数少ない地塊ブロックに統合していった。その結果、峠の北東側と南西側では傾斜の方向が同じにもかかわらず、その大きさが5倍程違うことが判明し、二つの地塊ブロックにわけることができた。即ち、当水準網では、10ケの水準点中2点が局所的な沈降と解釈され、(1)網全体として、焼岳火山の噴火口側の相対的な隆起、(2)その傾動量は峠の北東側、すなわち、噴火口から遠い側が峠の南西側よりも5倍も大きく平均130μrad/yにも達する。一方、噴火口に近い南西側では22μrad/yである、(3)傾動が一時的に停止するような時期はあっても、噴火口側が沈降するような傾斜は9年間を通して全く観測されず、同じ方向への傾動が続いている、等の結論が得られた。今回の研究は、局所的な変動を除去するために多くの水準点を設けて、傾斜変動の局所性や時間的な変動を議論するなど局地水準測量による傾斜変動の検出について参考になるものと考える。焼岳のような小規模の火山でも傾斜変動量は非常に大きく、局地水準測量による傾斜変動の観測は火山噴火予知として火山地域での地殻変動の検出に有用であろう。
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