研究概要 |
日本海側の地滑りの大部分は融雪期に発生していて、その回数はその年の最大積雪深と相関があると言われている。本研究では、日本海側のような気候条件下で、どの程度の融雪水が発生するかを気象要素をパラメターとして扱ったモデルを作成し検討した。モデルは外部パラメターとして、気象要素(気温,湿度,風速,太陽高度角,雲量)及び地形パラメターとして、傾斜方位、標高を含めた。融雪期初期(3月1日)の積雪水量を与え、地滑り発生期頻度の高い新潟県の平均的な年の気象要素を入力して様々な状況下での日融雪量の計算を行なった。 1)傾斜方位によって融雪量が異なるが、4月1日に傾斜35°の南向斜面と北向斜面の日融雪量は、それぞれ、3.5と2.2cmWであり、前者が60%多い。5月1日に積雪が残っている場合にはそれぞれ、8.9と7.1cmWであり、絶対値は大きくなるが、相対的比率は小さくなる。 2)3月1日の積雪水量と、融雪最終日の日融雪量の間には比例関係があるが、斜面による違いは余りない。3月1日に100,150,200cmWであった場合、融雪最終日の融雪水量は、4.4〜5.1cmW,6.2〜6.7cmW,7.5〜7.8cmWである。融雪最終期の融雪量には、斜面の方位の影響よりも、どれだけ遅くまで積雪が残っているか、すなわち融雪期初期の積雪水量に強く依存する。 本モデルの検証用データとして、昨年5月〜6月にかけて立山山域、本年3月以降、中央アルプスの斜面地において長期気象観測及び積雪観測を実施し、後者は現在も継続中である。現在、両者についてのデータ整理を行なった後、これをもとに検証を行なう予定である。
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