研究課題/領域番号 |
61025027
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研究種目 |
自然災害特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武田 喬男 名大, 水圈科学研究所, 教授 (60022604)
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研究分担者 |
岩坂 泰信 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助教授 (20022709)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1986年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 集中豪雨 / 気象衛星NOAA / 積乱雲群 / クラウド・クラスター / 等価黒体温度 / レーダ観測 / 衛星赤外雲画像 / 豪雨災害 |
研究概要 |
本研究では、気象衛星を利用して豪雨災害を予測する方法を開発するための研究を行い、次の成果を得た。(1)名古屋大学に設置されているNOAA受信システムにより衛星データを直接受信することにより、日本付近を覆う雲を観測し、それらの雲の中より発達した積乱雲の群を検出する方法を検討した。レーダ観測データとも比較した結果、AVHRR信号のチャネル4で観測された等価黒体温度が-50℃以下であり、チャネル4と5の等価黒体温度の差がある値以下の領域は、激しい対流性降雨をもたらす発達した積乱雲の群に対応することが示された。(2)気象衛星NOAAの雲画像を地上の降雨と対応させるためには衛星画像の位置合わせが重要な問題となるが、一般には数10Kmの誤差が生じる。本研究では、地球の形、衛星の軌道をより正確に扱い、最終的にはランドマークにより修正する方法をとることにより、位置合わせの精度をあげることができた。(3)ある瞬時のデータである衛星データと時間積分されている地上雨量との対応については、衛星から評価される積乱雲群に対応する雲の体積と強雨域の雨量を時間的にも空間的にも積分したものを対応させたところ、1986年の梅雨期の例について、かなり良い関係を見出した。(4)梅雨末期などに集中豪雨をもたらす積乱雲群は、しばしば、クラウド・クラスター(衛星から顕著な現象として観測され、雲頂温度の低い直径数100kmほどの雲の塊)の一部として観測された。クラウド・クラスターの構造とふるまいの事例解析をした結果、クラウド・クラスターが停滞する過程が積乱雲群が入れ替る過程と関連させて明らかにされた。これらの成果は、今後、豪雨災害の予測に、レーダと地上雨量計による降雨の観測と共に、衛星による雲の観測をリアルタイムで併用することの有効さを示すと共に、利用方法の基礎を与えたといえる。
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