研究概要 |
花崗岩類は結晶粒径が大きくかつ鉱物物性の差が大きいため、他の岩石に較べて風化・変質作用を受け易い。そのため風化花崗岩帯には、割れ目の状況による硬岩から中硬岩、軟岩への遷移、軟岩から岩片化あるいは細粒化することによる礫質あるいは砂質マサ土への遷移など、岩状から土状にいたる様々な風化・変質段階のものが混在し、従来のように工事対象ごとに岩盤工学的あるいは土質工学的取扱いといった選択では対処できなくなっている。 そこで、より総合的な「地盤挙動分類」の観点に立って、風化・変質度の工学的指標化を図る必要があり、それを目指して本研究は以下のように実施された。1.ボーリングによる地盤挙動評価に関しては、既存のボーリングデータ及びコアサンプルによって、硬岩,中硬岩,軟岩,土砂,の区分と、岩種,RQD,割れ目間隔,N値,地山強度比の関係データを収録した。また、硬岩〜軟岩を対象とした初期応力の新しい計測法の開発研究を行い、室内較正試験の段階まで完了した。2.不撹乱試料の採取法と整形法に関しては、軟岩〜土砂を対象にダブルコアチューブ法と掘削露頭部における風化土塊採取法の検討、ならびに凍結固化による供試体整形法の検討を行い、三軸試験用供試体の作成手順を完成した。3.非破壊試験による不撹乱試料の物性評価に関しては、上記1.と2.の試料に対し、X線透過法による割れ目分布と密度分布の計測及び超音波法による弾性波伝播速度計測を実施し、必要データを収録した。4.室内力学試験に関しては、一軸圧縮,圧裂および三軸圧縮試験を実施し、強度・変形データを収録する一方、原位置試験への応用を目的に岩状〜土状全般にわたる点載荷圧裂試験の適用を検討した。 今後、上記の各種試験で得られたデータをパソコンを用いたデータベース化するとともに、岩状から土状にわたる風化・変質度の工学的指標の完成に向け研究を継続する必要がある。
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