研究概要 |
長野県飯山市および栃木県茂木町における水害時の住民行動分析より以下の諸点が解明された。 (1)水害経験と避難率・避難時期の関係 経験の有無という形でなく、経験した年代・頻度・被害の程度によって異なった行動がとられる。古い経験や、軽微な経験は事態を過少評値する傾向にある。一方、三十年に二度程度の頻度をこえると、対応は敏速になってくる。なお、経験が集落として蓄積されている場合には、想談活動も活発になり全体として、対応が早められる。 (2)集落の結束度と避難行動(災害時の想談度,協力度)災害時における集落内の情報交換や協力関係が避難行動に影響するとされているが本研究では水害時の情報交換の実体と協力関係についてアンケート調査に基づき解明した。災害時の情報交換を想談度として定量化し、水片づけや避難行動での協力関係を示す協力度と共に避難行動との関係を考察した。想談度と協力度は高い相関があり想談活動が避難行動そのものの協力関係を強めている。又、避難率は想談度・協力度と正の相関を示した。さらに協力度は避難途中の安全度を避難先での安全度を高める傾向にある。 避難場所までの距離、及び避難路安全度等の物理的条件と共に災害経験、集落の結束度(災害時想談度・協力度)がコミュニティー(集落)の防災力を構成する重要な要素であることが示された。なお各々の要素は互に密接に関連しておりその内部構造の検討が今後の課題とされる。
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