研究分担者 |
竹谷 裕之 名古屋大学, 農学部, 助手 (10023491)
合田 素行 東京大学, 工学部, 助手 (40134457)
原田 純孝 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (50013016)
松木 洋一 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (10102740)
武内 和彦 東京大学, 農学部, 助教授 (90112474)
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研究概要 |
宅地化の波や税制の締め付けの中で、都市農地と都市農業の存立基盤は大きくゆらいでいる。都市農地が大都市に不可欠な空間構成要素としてひろく認知されるためには、それが都市環境保全に果たす役割を正しく認識するとともに、その存在の永続性を保証するための都市農業を維持する方策を具体的に考えていく必要がある。そこで、本研究では、望ましい都市環境形成にとっての都市農地の評価について、都市工学,緑地学,都市農業については農業経済学,土地法制及び税制については法社会学など各専門分野の研究者が分担協力し、大都市及び地方都市における農地保全と都市農業のあり方を検討した。大都市の例としては、首都圏の東京(三鷹など),埼玉(川越など),近畿圏の大阪(岸和田など),神戸を,また、地方都市の例として仙台,名取,浜松などを対象にし、市街化区域内農地の実態を調査した。 そこで得られた新しい知見は、1)都市農地を支える都市農家の側からは多面的土地経営による対応が除々に確立し、市街化区域内農地の安定性は意外に高いものになりつつある。従来いわれてきた、市街化の過渡的状態と位置づけるだけではすまなくなってきている。2)自治体の都市計画サイドにおいて、住宅環境の質をたかめるために、都市農地は貴重なオープンスペースとして緑地保全,環境保全の立場から高い評価が与えられつつあるということである。そのような現実認識の上に立って、都市的土地利用と農業的土地利用の計画的共存方策の実態論的検討を行った。この点について、現行制度のいくつかの見直しが必要になってくるが、特に、わが国では全く考慮されてこなかった都市計画と農村計画の法的一体化が今後は必要になろう。都市計画は都道府県が、農村計画(農振計画)は市町村と計画主体が異なるような縦割り行政のもとでは、良好な都市,農村環境を維持するという計画的共存方策は生まれようがない現実である。
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