研究分担者 |
佐々木 寧 埼玉大学, 経済短期大学部, 助教授 (90162388)
鈴木 邦雄 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (30018048)
遠山 三樹夫 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (70001435)
藤原 一繪 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助教授 (80018043)
奥田 重俊 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助教授 (00000141)
|
研究概要 |
わが国の夏緑広葉樹林域における自然植生から代償植物まですべての植物型を対象とし、群落単位の抽出とシステム化、現存植生と潜在自然植生の植生図化(50万分の1)などを通じて、植物群落の相互関係を植物社会学的に解明、総合的に解析し、あわせて遺伝子資源の保護を早急に行うべき候補地域を選定した。本州中央部に位置する脊稜山脈は日本海側と太平洋側にいちじるしい気候差を生じさせているが、とくに夏緑広葉樹林域ではその影響が強く現われている。ブナ林の群落は積雪量によってその分布域を異にし、積雪量の多い日本海側にはチシマザサ-ブナ群団、寡雪地の太平洋側にはスズタケ-ブナ群団が発達し、両者は明瞭に識別される。前者は奥羽山脈を中心に広い分布域をもつが、後者は阿武隈高地や岩手県南部などにわずかに残存するに過ぎない。またミズナラの自然林は岩手、秋田両県にごく稀に生育している。一方針葉樹林は本州中部でウラジロモミ、ツガ、クロベなどが発達した森林を形成するが、積雪量の多い東北地方ではスギ、ヒノキアスナロが天然更新により、発達した林域が現存している。代償植生の二次林は低海抜地にコナラ林、高海抜地にミズナラ林が配分している。コナラ林はおもにスズタケ-ブナ群団域に分布するが、チシマザサ-ブナ群団域の海抜400m付近まで分布することが注目される。福島、新潟両県の県境域は多雪のため、なだれが多く、カバノキ属の低木林となっている。天然林の伐採による拡大造林は夏緑広葉樹林内で現在なおおし進められている。東北地方を例にとると白神山地,栗駒山,船形山などでブナの原生林が寸断され、林道造成に伴う植生の破壊が著しい。自然環境と潜在生物資源の保護の立場から、下北半島白神山地,八幡平,早池峰山,安家地区,栗駒山,鳥海山,月山,飯豊山,磐梯山,八溝・阿武隈地区,那須・二岐山,奥只見などの候補地が選定された。
|