研究課題/領域番号 |
61030041
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研究種目 |
環境科学特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
鈴木 紀雄 滋大, 教育学部, 教授 (90025354)
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研究分担者 |
長田 芳和 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (40030423)
桜井 善雄 信州大学, 纎維学部, 教授 (30021140)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1986年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 水草地帯 / 湖辺の生物群集 / 稚魚 / 水淨化 / 植物プランクトンの増殖 / 湖辺景観 / 水辺の環境保全 |
研究概要 |
水草地帯に多数生息するヒメタニシの水淨化に果す役割を調べた。その結果、条件にもよるが、この貝は植物プランクトンの増殖を5分の1以下に抑制することをみた。ところが、ヒメタニシを糸につるして付着藻類の捕食を困難にした場合には水淨化能(植物プランクトンの増殖抑制能)の発揮は著しく低下するので、夜間の貝の付着藻類の捕食が昼間の付着藻類の生産速度を促し、これによる栄養塩の吸収が植物プランクトンの増殖をさまたげているのではないかと考えた。この他、現在のところ解明されていない他の機構も働いている可能性があり、現在その解明を急いでいる。一方、同じ巻貝でもカワニナはヒメタニシとことなり、逆にプランクトンの増殖を促進する。この相違が起こるメカニズムの一つとして糞の性状があげられ、カワニナは栄養塩の溶出が容易であることが関係している。富栄養化の進行に伴ない、淨化能の強いヒメタニシが急増したことは自然界における一種の制御作用とみることができる。一方、このような淨化能をもつヨシ帯が日本各地で消失しつつあるが、失なわれた植生の回復技術に資するためにヨシの立地条件を調らべた。その結果、ヨシの地下茎は最大60cm以浅で大部分は40cm、マコモヒメガマは30cm以浅に分布している。ヨシ群落が特に波浪に対して沿岸の侵食防止に役立つのはヨシの地下茎のバイオマスが大きいことも関係している。土壌中のN,P含量と地下部の現在量との間では正の相関がみられた。したがって、ヨシ等の抽水植物群落成立には少なくとも、深さ60cmの安定した土壌層が必要である。また、我国及び外国の湖沼の沿岸帯について自然度の高いものから人工的なものまで30の湖沼景観を選びアンケート調査を行った。その結果、緩傾斜の地形に水生植物群落が生育するか、砂浜があり、背後に樹林が存在するような、湖沼の生態系や漁業資料の保全上望ましい沿岸帯を良しとしている。
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