研究分担者 |
魚住 光郎 大阪府立公衆衛生研究所, 公害衛生室, 室長 (50028495)
香川 順 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90055955)
伊藤 春海 京都大学, 医学部, 助教授 (40026943)
増田 閃一 東京大学, 工学部, 教授 (40010615)
高橋 幹二 京都大学, 原子エネルギー研究所, 教授 (40027123)
|
研究概要 |
近年,大気汚染問題の中心課題となっている粒子,とくに微粒子による大気汚染の人体影響を解明するための科学的基礎を確立するため,昭和59〜61年の3ヵ年に亘り,工・理学と医学・生物学領域の研究者による学際的研究を行った。研究分担課題は、わが国での研究が諸外国に比べて著しく遅れている粒子の組成,実験的発生法,計測法,ヒトおよび動物吸入実験法,粒子荷電の影響,影響指標等の開発であり、次の成果が得られた。1)XRF+FAST法による軽元素を含む粒子元素の非破壊多元素同時分析法の確立、2)従来の方法では計測不能な超微粒子の計測法として、正コロナパルスを利用した新しい原理の計測器の試作,3)2段階電気炉加熱法による単分散の金属ヒューム微粒子の簡便な発生方法の開発に成果を得た。影響研究に関しては、4)凝集法による肺沈着率測定のための単分散標準粒子の簡便な発生法およびチンダロメーターによる吸・呼気中粒子の連続モニターシステムを開発し、5)一般環境大気中に普遍的に存在する硫酸エアロゾルの濃度自動制御型動物(ラット,モルモット)吸入実験システムを開発、整備し、影響指標として肺過酸化脂質および関連代謝酵素系の変動を検討し、【NO_2】【O_3】などと異なる成積を得た。6)光化学反応を利用して得た微粒子とガス状共存物質をデニューダー法によって分離した光化学S微粒子による長期(2年)連続動物暴露システムを開発、暴露動物(マウス)の肺に【NO_2】【O_3】に暴露では認められない、新しい組織学的変化を見出した。7)蛋白エアロゾルの表面荷電の違いによる吸入動物(マウス)への影響を免疫学的手法により追求し,正荷電蛋白は負荷電のものより生体影響の強いことが示唆される成績を得た。以上の研究により、わが国ではこれまで殆んど行われていなかったエアロゾル吸入実験が日常的に実施されるようになり、本研究班の成果は、今後、わが国における粒子の人体影響研究の活性化に貢献するものと期待される。
|