研究概要 |
仙台市内では冬季にスパイクタイヤが多用され、このタイヤは非積雪面を車両が走る場合には路面を著しく摩耗させ、この道路粉塵が市内中心部の環境汚染を著しいものとし健康影響が問題となり、1984年冬季より健康影響調査を行ってきた。本年度は健康影響に関連し最も懸念される吸入性粉塵の量およびその中の遊離珪酸濃度について検討を行った。(1)大気粉塵中の吸入性粉塵濃度の季節的変動の解明とその中の遊離珪酸濃度を明らかにするため、分析上の制約から大量の粉塵を集める必要もありハイボリュームエアサンプラー(紀本電子、モデル-1201)およびアンダーセンサンプラー(ダイレック、AN-200)を用いて1986年2月よりスパイクタイヤ多用期の4月まで毎週および非使用期の7,8,9,11月は月に1度各1週間の連続した採集を行い、1987年1月の採集後に全試料を対象にX線分析法およびICP法、原子吸光法によりSi【O_2】を始め有害重金属を中心に元素分析を行っている。(2)1986年12月より近年急速に開発されたポータブルダストサンプラー(柴田科学、L-4W)および粉塵用個人サンプラー(柴田科学、PS-46)を用いて、とくに道路に面した条件等の高濃度曝露下で各個人が、吸入性粉塵とくにその中でSi【O_2】に一日どの程度に曝露されているかを推定するための調査を検討した。微量のSi【O_2】を直接ICP装置に導入し測定することを考え、粉塵を小溶液に捕集し、捕集液を密閉式テフロンルツボ(ユニシール社)を用いて湿式酸分解処理を行った。ポータブルダストサンプラー捕集ではインピンジャーに蒸留水50ml、個人サンプラー捕集にはミゼットインピンジャーに蒸留水を10ml用い、6〜8時間のサンプリングを高値で行った時、ICP法でSi,Al,Fe,Ca等へ定量が可能となった。
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