研究概要 |
石炭灰をガス化炉内で粗粒化することにより、有害物質を不溶出化することを目的として以下の研究を行った。本年度は特に焼結特性および灰中元素の燃焼時の挙動および灰からの元素の溶出性に対する炭種の影響特に灰の融点の影響を検討し、また微粉体燃焼灰からの元素の溶出性と比較した。 1.燃焼に伴う温度上昇とガラス化;いずれの炭種についても燃焼により球中心温度は20〜400℃上昇した。低灰融点炭2炭種では、温度上昇は燃焼温度とともに直線的に減少したが、高灰融点炭では周囲温度1100℃以上で中心温度は1350℃ほぼ一定であった。X線回折による石英ピーフ強度は、いずれの炭種についても燃焼温度とともに直線的に減少し、1400℃程度でほぼ0となった。 2.燃焼に伴う元素の挙動;灰中に残留する元素割合は、Zn,Bで1250℃以上でまたNa,Cdで1500℃以上で揮散したことを除けば、ほぼ1となっており、揮散は認められなかった。(Hgは測定対象としてないが、揮散の可能性が高い) 3.灰からの元素の溶出性;実験に用いた4炭種から生成した灰からの溶出液中には、24元素が検出された。Ca,Mg,Sr,Ba,Mn,La,Bでは、燃焼温度が1250℃以下ではほとんどの元素は酸性水溶液中に溶出するが、約1300℃以上となると溶出率は2ケタ以上減少した。Al,Fe,V,Sc,Ba,Cu,Y,Pb,Wについても傾向は同様であるが、溶出率は0.1程度から1〜2ケタ減少した。K,Na,Co,Ti,Mo,As,Zr,Znについても、燃焼温度とともに溶出率は減少したが、その割合は他元素に比して小さい。これらは3項に示した灰のガラス化によるものと思われるが、微粉炭燃焼灰(5kg/h試験炉)からの元素の溶出性は、燃焼温度が高いにも拘らず、元素の溶出性は大きかった。 4.ガス化炉運転とまとめ;上記のように1300〜1400℃の燃焼温度(炉温1100℃位)が望ましい。しかし炉内流動はガス吹込法により影響され、運転の結果、今後更に条件の検討の必要性が示唆された。
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