研究分担者 |
山本 雅道 信州大学, 教養部, 助手 (50011565)
吉田 利男 信州大学, 教養部, 教授 (20021214)
松田 松二 信州大学, 教養部, 教授 (70035971)
船越 真樹 信州大学, 理学部, 助手 (10115371)
林 秀剛 信州大学, 理学部, 助教授 (60087129)
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研究概要 |
仁科三湖のひとつ木崎湖では、1970年代後半より富栄養化にともなう生物相の変化(アナベナ,藻食性アメーバの増殖)や、人為が関係するいくつかの侵入種(ブラックバス,ソウギョ,コカナダモ,など)が起因する生態系の変化が報告されている。本研究では、こうした生物主導の変化に着目し、湖沼生態系の物質循環に影響をおよぼす生物的要因の評価を試みるものである。得られた主な成果は次のとうりである。 1.ブラックバス,ソウギョなどの侵入魚種の評価: ブラックバスの増加は、小型魚種の激減を引き起し、さらに、食物連鎖を通じて動・植物プランクトン組成まで影響をおよぼしている可能性が示された。また、ソウギョについては、多量の水生植物を摂食していることが明らかにされており、その影響の評価も試みた。これらの長期的な影響についてはさらに追跡中であるが、自然湖沼への放流魚種についての問題点も指摘された。 2.コカナダモ帯の評価: 1979年に木崎湖での侵入が認められたコカナダモは、その後沿岸帯に繁茂し、在来植物を駆遂しマット状をなしている。この群落は、カゲロウ,トビケラ,トンボ,ユスリカ類など、70〜80種の水生動物の成育場所となっていることが明らかとなった。これらの季節変動はコカナダモの消長と密接に関連している。また、コカナダモによる栄養塩類のトラップとその再放出の機構についても検討された。 3.沖帯生物群集の評価: 定期観測により動・植物プランクトン,バクテリア,などの変動パターンが明らかにされた。これらと栄養塩類の変動とは密接に関連しており、現状では湖内生物生産はPが制限要因となっていることが明らかとなった。 以上の諸現象は、いずれも相互に関連しており、さらに人為的な水利用や栄養塩負荷との関連も検討されている。
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