研究概要 |
中海,宍道湖のような汽水環境下での微細藻類の増殖制御要因として、栄養塩(N及びP)制限下の増殖パラメータ及び薬物(有機リン剤)の増殖抑制能についての解析を行うと共に、藻類の薬物分解能の評価も行った。 (1)栄養塩(N及びP)制限下の藻類増殖パラメータの作製 藻類(X)の動体は、dx/dt=【^!μ】(A-X)(C-X)/(B-X)/(D-X)で示される。但し、A=【Sn^o】Yn+Xo,B=【Ks^n】+【Sn^o】Yn+Xo,C=【Sp^o】Yp+Xo,D=(【Ks^p】+【Sp^o】)Yp+Xo【^!μ】:最大比増殖速度定数,【Sn^o】,【Sp^o】:N,P初期濃度、【Ks^n】,【Ks^p】:N.P半飽和定数Yn,Yp:増殖収率、Xo:初期濃度,グラフ法とコンピュータ解析でえられた各パラメータのうち、【Ks^n】と【Ks^p】は夫々0.4〜11mg/l及び0.02〜0.2mg/lの間にあり、検討したいずれの藻類でも【Ks^n】>【Ks^p】,Yn<Ypであった。 (2)薬物(有機リン剤)の藻類増殖抑制能の解析 薬物(I)存在下での藻類(X)の初期増殖域の動態は、dX/dt=CXで示される。但し、C/μ〓1+I(μ-D)/μ/Ks,C,μ:I存在下と不在下での比増殖速度定数、Ks:I半飽和定数、μ、D:I飽和下の増殖速度定数と死減速度定数.C/μ:IのグラフからC/μ=0.5の時のI,即ち【IC_(50)】が容易に求められる。【IC_(50)】値で見た有機リン剤7化合物の増殖抑制能は、化合物の水溶解度及び生物濃縮係数と夫々負及び正の高い相関を示した。 (3)藻類による薬物(有機リン剤)分解能の評価 藻類(X)存在下の薬物(S)の濃度変化は、ln(〔S〕/〔S〕o)=-kot-【kA∫o^t】×dtで示される。但し、〔S〕,〔S〕o:時間tとOのS濃度、【k_A】,ko:XとX以外の要因によるS消失速度定数.Xの変化を生長曲線式で近似させ、コンピュータ解析により【k_A】を求めた。3化合物の5種藻類での【k_A】は、(1〜179)×【IO^(-9)】ml/cell/dayの間で変化した。その変化は、化合物間よりも藻類間で大きく、最大120倍の差を示した。
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