研究概要 |
1.パーソナルサンプラーの試作-小型直流モーターにより往復動式の吸引ポンプを駆動させて大気を吸引し、サンプリング管(4mmid×約100mm,充填剤Tenax GCなど)に汚染成分を常温で捕集する方式で、大きさは10cm(H)×7cm(W)×2.4cm(D),約85gであった。吸引空気量はメカニカルカウンターにより求め、電源は1.5〜3Vの乾電池を用い別ケースに収めた。また47mm径の石英繊維フィルターをつけた漏斗状アダプターを装着して大気浮遊粉じんを捕集できるようにし、大気を直接捕集する場合には1lのテドラバックを入れた気密の冷蔵庫用プラスチックケースを利用し、これをサンプラーで減圧して採取できるようにした。ポンプの吸引速度は3Vで無負荷時約2l/min,0.2gの充填剤をつめたサンプリング管使用時約160ml/minであった。 2.吸着成分の回収率-サンプリング管を加熱導入装置により約1分間で260〜280℃まで急速加熱したのち、Heを30〜60秒間通して吸着成分をGCまたはGC/MSへ導入したとき、スチレンで96〜98%の回収率を得た。ppbレベルの各種混合標準ガスによるサンプリングから定量までの全回収率はヘキサン以上のn-アルカン,B,Tなどで80〜100%であった。 3.定量系の検討-イオントラップ式でGC/MS,負イオン化学イオン化MS法,放電-化学イオン化MSなどを検討し、4.の実際試料の測定に用いた。 4.応用例-常温吸着で大気1〜10lを採取し、数〜数10ppbのB,T,X,h-アルカン,アルキルベンゼン,トリクロロエタンなどを、またテドラバッグに約1lの空気を採取し、非濃縮のままppbレベルの各種のハロゲン化炭化水素を検出した。さらに僅か1〜10lの空気を吸引してフィルター上に浮遊粉じんを捕集し、その中性抽出液からGC/NCIMS法により10〜500ng/【m^3】のB(a)Pを検出した。放電を利用したMS法では汚染成分を空気とともに直接MSに導入して測定できた。
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