研究分担者 |
島 邦博 筑波大学, 物理工学系, 講師 (70087964)
熊谷 秀和 理化学研究所, リニアック研究室, 技師 (80142107)
加瀬 昌之 理化学研究所, リニアック研究室, 研究員補
金井 保之 理化学研究所, 原子過程研究室, 研究員 (00177487)
渡部 力 理化学研究所, 原子過程研究室, 主任研究員 (40010714)
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研究概要 |
前年度の科学研究費補助金で製作した重イオン荷電分析用電磁石の整備とこれを用いた、炭素薄膜を通過した重イオンの荷電分布の測定とを行なった。荷電分析用電磁石の真空箱、重イオン位置検出器収納部、固体薄膜を保持するターゲットチェンバーを真空にひくためのクライオポンプを購入し、接続した。ポンプの精能については、満足すべき結果を得た。ターゲットチェンバーと電磁接続部の周辺で【10^(-7)】Torrの真空を得ている。 電磁石の電源は、理研に既存の他の磁石のものを一時借用して使用している。荷電分析を行なう際、磁場の強さの読みとり、その再現性の確保が必要である。これに使用するガウスメーター・プローブを購入,これを磁石のポールピース内に固定するための、真空フランジ等を設計、製作して取付けを行い、使用可能にした。ガウスメーターのコントロール回路は、他より借用しているが、その出力を数値化して読みとるために、ディジタルアルチメーターを購入、使用した。 この荷電分析用電磁石を用い、理研の重イオン線型加速器(RILAC)で加速された各種重イオンが、10μg/【cm^2】の炭素薄膜を通過した際の荷電分布を測定した。測定を行った重イオンの種類と、その核子当りのエネルギー、炭素膜に入射する前のイオン価は、次のようである。1.3MeV/u【Ar^(4+)】,【Ar^(12+)】,【Ti^(15+)】,0.83MeV/u【Al^(3+)】,【Cu^(4+)】,【Cu^(17+)】,【Kr^(6+)】,【Xe^(8+)】,【Xe^(26+)】。測定の結果、これらの重イオンは、10μg/【cm^2】炭素膜通過後、平衡荷電分布状態又はそれに非常に近い状態にあることが判明した。この測定で得られた各イオンの平衡平均電荷は以下の通りである。0.83MeV/u Al:8.9,1.3MeV/u Ar:12.3,1.3MeV/u Ti:14.9,0.83MeV/u Cu:16.8,0.83MeV/u Kr:18.6,0.83MeV/u Xe:26.1。
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