研究課題/領域番号 |
61113006
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯山 敏道 東大, 理学部, 教授 (90107699)
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研究分担者 |
鈴木 和博 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90111624)
加納 隆 山口大学, 理学部, 助教授 (60108264)
田切 美智雄 茨城大学, 理学部, 助教授 (50007829)
大貫 仁 弘前大学, 理学部, 教授 (00004317)
坂野 昇平 京都大学, 理学部, 教授 (30019468)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1987
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1986年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | ミグマタイト / 部分溶融 / 固体貫入 / 交代作用 / 拡散 / 浸透 / エンタルピー / 物質移動 |
研究概要 |
変成作用に伴う物質移動の実態、機構、その機模を研究している本班は、昨年度に続き本年度は次の結果を得た。(1)地殻中〜深部で起る物質移動としては、マントル又は地殻深部で発生したマグマが他所に貫入することによって生ずる移動形態が最も重要である。高変成度の変成岩においてしばしばみられるミグマタイトにおいて、どの部分がマグマに由来し、どの部分が、溶融状態を経ていない部分であるかについて、岩石中の斜長石の累帯構造と、組織の観察から区別がつけられることが明らかにされた。この面から、北海道日高北方の変成岩にみられる物質移動の実態が明らかにされた。(2)高圧変成作用では、水溶液を媒体とする物質移動はその規模において非常に僅かなものであることが三波川変成帯中の、角肉岩相〜グラニユライト相の岩石について、明確、定量的に示された。変成作用に伴って起る鉱物組合せの変化の解析の際に、まず非平衡状態の鉱物種が生じ、これが平衡状態の鉱物種に変ることがしばしばあることが指摘された。(3)変成帯における物質移動の一形態として、固体岩体の貫入が見逃せないことが三波川帯の変成岩において示された。(4)地殻浅部においては、水溶液を媒体とする物質移動が一つの重要な機構である。これによって種々の鉱物脈が形成される。この際鉱物と水溶液の反応によって鉱物表面に固定された物質は表面から固体内部に拡散によって移動するのではなく、気相又は液相の水溶液が鉱物のへき開又は転移ループに沿って侵入して反応が進行する機構によると考えるべきことが見出された。このため、物質移動速度は拡散によると考えられる場合の100〜1000倍にも達する。(5)合成実験による各種の造岩物質相の安定関係を充分な精度をもって定量的に説明し得る熱力学的諸量がカロリメトリーによって得られるようになった。
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