研究課題/領域番号 |
61114001
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
津田 穣 千葉大, 薬学部, 助教授 (90009506)
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研究分担者 |
真下 正夫 光技術共同研究所, 主任研究員
国谷 保雄 中央大学, 理工学部, 教授 (80020353)
笈川 節子 千葉大学, 薬学部, 教務職員 (60101359)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 減圧MOCVD / アルミニウム・ガリウム・ヒ素混晶 / トリメチルガリウムの熱分解機構 / トリエチルガリウムの熱分解機構 / 量子化学 / 分子軌道法 / ポテンシャルエネルギー超曲面 / 反応速度定数の計算 |
研究概要 |
MOCVDによるA1GaAs混晶成長に関して、原料ガスの熱分解による活性反応種の生成過程、活性反応種の結晶表面との反応過程、ならびに結晶のエピタキシャル成長過程についての基礎的理解を得ることは、実用性の大きいこの種の混晶の成長技術を確立する上で極めて重要な課題である。今年度は、このうち原料ガスの熱分解による活性反応種の生成過程を明らかにするため、アルキルガリウムおよびアルキルアルミニウムのうちから、A1GaAs混晶成長に用いられている、トリメチルガリウム(TMG)及びアルミニウム(TMA)、トリエチルガリウム(TEG)及びアルミニウム(TEA)を選んで、その熱分解反応素過程を量子化学的方法により調べた。量子化学的理論計算によって得られた各種熱分解反応の活性化エネルギーΔ【E^0】から、エチル化合物はメチル化合物より15kcal/molも低い活性化エネルギーで分解反応を起こすことがわかった。その理由はエチル化合物ではエチル基の末端の水素原子がGa原子に転移しエチレン分子が解離する分子分解反応が起り易いためであった。メチル化合物では分子分解は起こらず、ラジカル分解反応のみが起こる。次に、熱分解の理論的反応速度を調べるため、反応物質と遷移状態の分子分配関数を計算し、これと活性化エネルギーΔ【E^0】とから活性化標準状態ギブス自由エネルギーΔ【G^(0+)】を求めた。得られたTMGのラジカル分解の反応速度式は実験で求められている式にほぼ一致した。理論計算の結果を用いて、MOCVD反応器で測定されたTMG及びTEGの分解温度とさらに精密な方法で測定されたTMG及びTEGの結合解離温度の予測を行った。TEGはTMGよりも100度〜160度も低温で分解するが理論値はその実測値をほぼ定量的に再現した。この結果、TMG及びTEGの熱分解はそれぞれ全く異なる機構、即ち前者はラジカル機構、後者は分子機構で起こることが確証された。
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