研究分担者 |
山本 尚三 徳島大学, 医学部, 教授 (50025607)
野島 庄七 帝京大学, 薬学部, 教授 (70090470)
永井 克孝 東京大学, 医学部, 教授 (80072974)
大沢 利昭 東京大学, 薬学部, 教授 (40012603)
宇井 理生 東京大学, 薬学部, 教授 (50001037)
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研究概要 |
1.受容体活性化による膜リン脂質代謝とカルシウム動員 各種細胞(多核白血球,マスト細胞,血小板,神経芽細胞,リンパ球)をそれぞれの固有アゴニストで刺激して、誘起されるイノシトールリン脂質の代謝亢進,アラキドン酸の遊離を経時的に検討した。細胞の種類と刺激の種類によって程度の差はあるが、一般的に受容体活性化によるポリホスホイノシチドの分解とともにホスファチジルイノシトールのホスホリパーゼCによる直接分解が作動していることが示された。しかも、細胞によってはサイクリックAMPの増加、あるいはプロテインキナーゼCの活性上昇によってホスホリパーゼCの活性が抑制されることが明らかにされた。血小板およびマスト細胞はその典型的な例であり、ホルスコリンやジブチルサイクリックAMPの投与によってイノシトールリン酸の産生が阻害され、さらにホスホリパーゼ【A_2】によるアラキドン酸遊離も抑えられた。その機構としてプロテインキナーゼAによるカルシウム動員の抑制が示唆されたが、他の機構が関与していることも考えられる。 2.ホスホリパーゼ【A_2】,Cの活性化機構-GTP結合タンパク質の作用 血小板(ラット,ウサギ,ヒト)の膜画分からホスホリパーゼ【A_2】の精製が試みられ、ほぼ単一標品にまで精製され、それらのアミノ酸組成が部分的に明らかにされた。一方、ホスホリパーゼCについても、リンパ球,血小板からの精製が進み、可溶性画分の酵素がGTPおよびその類縁物質によって活性化されるという新知見を得た。膜結合酵素の精製は満足すべき段階には達していないが、精製GTP結合タンパク質との再構成による活性発現を検討することにより、本酵素の活性調節機構を明らかにする。
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