研究課題/領域番号 |
61210005
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 磨郎 東北大, 抗酸菌病研究所, 教授 (90006081)
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研究分担者 |
佐藤 春彦 東北大学, 抗酸菌病研究所・臨床癌化学療法部門, 助手
堀 勝義 東北大学, 抗酸菌病研究所・肺癌部門, 助手 (00143032)
阿部 郁夫 東北大学, 抗酸菌病研究所・肺癌部門, 助教授 (80006105)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
1986年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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キーワード | 腫瘍血管の機能特性 / 腫瘍組織血流 / ラット透明窓法 / 新生毛細血管 / アンギオテンシン【II】 / ソジウムニトロプルシッド / 腫瘍組織制癌剤濃度 / 癌化学療法 |
研究概要 |
アンギオテンシン(AT【II】)昇圧による腫瘍選択的組織血流の上昇という我々の見出だした新事実は腫瘍微小循環の機能特性の解明を大きく促進させただけでなく癌化学療法効果増強、画像診断への応用など癌克服にも貢献し得るものである。AT【II】昇圧によって腫瘍組織血流のみが選択的に増量するのは腫瘍血管が受動血管であり、且つ周囲の正常血管と並列関係にあるためであることが実験的に確認された。更に腫瘍を涵養する腫瘍血管の形成を仔細に検討した所、経末細動脈分岐部とこれに続く真性毛細血管から派出する新生毛細血管の形成と既存の毛細血管の伸長、吻合によって腫瘍血管が形成されていくものであることが分った。腫瘍血流の増量は腫瘍組織内濃度を選択的に増量させることがダウノマイシンなどで証明されていたが、今年度新たにネオカルチノスタチン、マイトマイシンなどでも確認され、更に制癌剤濃度上昇作用が腫瘍組織選択的なものであることが分った。従来実験に用いて来たのはニジマス型のAT【II】であったが新たにヒト型AT【II】について作用を検討し、両者の作用が全く同じであることが分った。現在、ヒト型AT【II】について化学療法効果増強があるかどうか無作為化対照試験が進行中である。これまでヌードマウス移植ヒト癌での血流促進や、臨床におけるダイナミックCTの腫瘍陰影像の増強が見られ、ヒトにおいても有効であることが示唆されている。静脈投与された制癌剤は、組織に到達したあと再び血流あるいはリンパ液を介して運び去られる訳で、AT【II】昇圧とこれに引き続くソジウムニトロプルシッドによる降圧で血流を停止させることによって制癌剤を高濃度、長時間腫瘍内に選択的に滞留させることが出来た。これは"水改め療法"として現在動物実験を進めている所で、AT【II】昇圧療法よりも更に有効なことが実験的に示唆されている。以上、腫瘍血管の機能特性の解明と応用が一層進展したものと考える。
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