研究課題/領域番号 |
61210011
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木幡 陽 東大, 医科学研究所, 教授 (30030852)
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研究分担者 |
山下 克子 神戸大学, 医学部, 助教授 (70030905)
天野 純子 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (10159460)
古川 清 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10190133)
遠藤 玉夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30168827)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1986年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 絨毛がん / 絨毛性性腺刺激ホルモン / 糖蛋白質 / アスパラギン結合糖鎖 / レクチン |
研究概要 |
1.HCGに見出したがん性糖鎖と反応する単クローン抗体の開発ーー昨年度に完成した一本鎖複合型少糖を材料にGa1β→4GlcNAcβ1→4の側鎖を附加してがん性糖鎖ハプテンを合成することに成功した。2.破壊奇胎の産生するhCGの糖鎖の構造研究ーー胞状奇胎の中で周辺組織への浸潤を起したり、転移する等のがんに近い性質を示すことで知られる破壊奇胎の患者尿より精製したhCGのAcn結合糖鎖を調べたところ、絨毛がんhCGに特異的な糖鎖の一部が出現していることが判明した。すなわち破壊奇胎のhCGには健常妊婦のhCGや胞状奇胎のhCGには見出されないような3本鎖複合型糖鎖が含まれていたが、異常2本鎖複合型糖鎖は一切含まれていなかったのである。この知見はhCG糖鎖のがん性変化の酵素学的背景を考える上で極めて指唆に富むものである。すなわち同がん性変化の鍵を荷っているのはβ-アセチルグルコサミン転移酵素【IV】(Gn-T【IV】)と見られるが、腎臓等の正常組織で見出されているGn-T【IV】は2本鎖複合型糖鎖にのみGlcNAcを転移して3本鎖を作り、一本鎖にGlcNAcを転移して異常2本鎖を作ることは無いのである。これまでの我々の研究結果を総括するとhCG糖鎖のがん性変化をひき起こす機構は次のように考えてよかろう。Trophoblastsや胞状奇胎の細胞にはGn-T【IV】は一切発現していないが、破壊奇胎になるとこの酵素の異所性産生が起こる。この時のGn-T【IV】は腎臓等の正常組織のものと同じ特異性を有するが、絨毛癌では同酵素の変質が起り1本鎖にも仂いて異常2本鎖を産生する。3.HCG糖鎖のがん性変化の臨床応用ーー以上の知見を土台に我々はGn-T【IV】異所性発現が絨毛がん診断の上で重要であると考え、Galβ1→4GlcNAcβ1→4(Galβ1→4Glc【NA_(cβl→2)】)Manという5糖グループと反応するレクチン探しを進め、シロバナチョウセンアサガオのレクチン(DSA)がこの目的にかなうこと発見した。
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