研究課題/領域番号 |
61210015
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
浜岡 利之 阪大, 医学部, 教授 (60028529)
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研究分担者 |
藤原 大美 大阪大学, 医学部, 助教授 (70116094)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
1986年度: 20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
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キーワード | T-T細胞間相互作用 / Muramyl dipeptide ハプテン / 腫瘍特異免疫療法 |
研究概要 |
本年度は主として、我々がこれまで開発して来たヘルパーT細胞-抗腫瘍エフェクター間のT-T細胞間相互作用による抗腫瘍免疫の誘導増強を、昨年開発した新しいBCG-MDPハプテン系を用いた免疫療法に応用して腫瘍特異的免疫療法モデルを作成することを目的とした。以下の三つの腫瘍モデルに応用した。(1)マウス固型腫瘍モデル:C3H/Heマウス及び同系腫瘍X5563骨髄腫を用いた。予めBCGに感作されたC3H/HeマウスにX5563腫瘍細胞を皮内に移植し、7日後、腫瘍塊内にMDPハプテンを注入した。BCG非感作群ではハプテン注入によって腫瘍の増殖に何ら変化をきたさなかったが、BCG感作群においては、約半数に腫瘍退縮・治ゆをみた。(2)腫瘍転移形成阻止モデル:X5563腫瘍を同系マウス背部皮内に移植し、9日又は10日目に腫瘍切除を行なうと約90%が転移で死亡する。予めBCGに感作されたC3H/Heマウスに、上記の如く腫瘍移植、切除を行ない、術後X5563細胞にMDPを結合させたMDP修飾X5563細胞で免疫を行なったところ著名な生存率の向上が認められた。(3)マウス慢性白血病モデル:BCG感作マウスにBC【L_1】生細胞を移入し人為的に白血病にし、その一週後よりMDP-BC【L_1】での免疫による白血病発症阻止効果をみたところ、90%以上のマウスにおいて21週以上にわたり白血病の発症を認めなかった。以上、今回の結果は、BCG-MDPハプテン系を用いた抗腫瘍免疫誘導増強法が、腫瘍特異免疫療法に応用可能であるものとして注目される。又BCG-MDPを用いた系は、日本人の大半が結核菌に感染あるいはBCG接腫を受けすでに感作状態であり、またたとえ非感作状態の人でもBCG接腫は比較的安全に行えることなどを考えると、大きな利点をもち臨床応用への可能性を示唆するものであろう。
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