研究課題/領域番号 |
61211008
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
首藤 紘一 東大, 薬学部, 教授 (50012612)
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研究分担者 |
大和田 智彦 東京大学, 薬学部, 助手 (20177025)
遠藤 泰之 東京大学, 薬学部, 講師 (80126002)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ベンゼン / 芳香族化合物 / 陽イオン / アニレニウムイオン / フェノキセニウムイオン / ベンジルカチオン / ジカチオン / 分子軌道法 / 反応機構 |
研究概要 |
ベンゼンは最も基本となる芳香族炭化水素である。その研究は芳香族系化合物の新しい利用・展開にとって不可欠の領域である。本課題では、このベンゼンに関しての研究を目的とする。特に、ベンゼン自体と反応するベンゼン誘導体の探索とその反応の機構の研究を行ない、ベンゼン化学の発展に寄与せんとする。 アニレニウム、フェノキセニウムおよびベンジルカチオンの分子軌道計算の結果、前二者が、そのベンゼン環上で反応が進む理由を明らかにした。この結果からベンジルカチオンのベンゼン環上での反応が進むための要件を強酸中での反応に求めた。特にカルボニル基で置換したジフェニルメチルカチオンの強酸中での反応はフルオレン誘導体を与える。この反応では、カルボニル基へのプロトン化がおこり、ジカチオンが関与する。ジカチオンは、その陽電荷の反発により、ベンゼン環への陽電荷の分布が増大し、電子環状反応が進むための条件が満たされるものと思われる。 このメカニズムは中性条件下でのカチオンの挙動の解析とともに、プロトン化したジカチオンモデルの分子軌道法計算の結果でも説明される。すなわち、カルボニル置換ベンジルカチオンはプロトン化により、アニレニウムイオンやフェノキセニウムイオンと同様にベンゼン環への陽電荷の分布が高まる。しかしながら、同じπ-電子吸引基であるニトリル基ではこの反応が進行しない。このことは、陽イオンのベンゼン環への局在は増加するが、プロトン化のエネルギーが大なるために、与えられた酸強度条件でのプロトン化が進まないためとみられる。 以上の結果はこれまでに考えられたことのない新しい考え方であり、今後のベンゼン化学への寄与が大きく、芳香族化学の新展開への糸口になる成果である。
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