研究概要 |
(1)デヒドロアビエチン酸誘導体の電解酸化反応 安価で入手しやすいキラル合成ブロックとしてのデヒドロアビエチン酸の電解酸化により7-位にアセトキシ基,カルボニル基の導入を有効に行うことに成功した。従来の4酢酸鉛法よりも優れた結果を得ており、大量合成法として活用できる。一方、カルボン酸を非コルベ型電解脱炭酸法により、A環に二重結合を導入できた。二重結合,特にエキソメチレン体をオゾン酸化して、4-ケト体に変換すると光学活性ステロイドのD-環として活用できる。 (2)フルフラール誘導体の活用 (イ)フルフラールの両極利用反応--陰極反応と陽極反応を単一電解槽で一挙に行う。直ち、陰極で錫を環元循環するアリル化により、ホルミル基をホモアリル体に変換する。一方、陽極で、活性な臭素化体をメディエイターとして発生させ、フラン環の2,5-位をメトキシ化すると、両極で、一挙に、2,5-ジメトキ-2,5-ジヒドロ-2(1-ヒドロキシ-3-ブテニル)フランが合成できた。 (ロ)Al-Sn【Cl_2】系によるフルフラール誘導体の3-位ヒドロキシメチル化-DMF中,2-(1-臭化ブチル)フランとパラホルムアルデヒドをAl-Sn【Cl_2】系で発生させた活性Sn(O)に作用させると3-位にヒドロキシメチル化が起った。収率はまだ20%足らずであるが、3-位に官能基を導入する方法として、優れたものであるので、収率の向上をめざしたい。脂肪族アルデヒドとの反応でも同様な反応を見い出した。
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