研究課題/領域番号 |
61212016
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉森 昭夫 阪大, 基礎工学部, 教授 (50013470)
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研究分担者 |
馬越 健次 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (10116098)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1986年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | イオン散乱 / イオン中性化 / 電子間相互作用 / 時間に依存するニューンズ・アンダーソン模型 / 電子空孔対展開 / 電荷移動 / 平均場近似 / 数値的繰り込み群 |
研究概要 |
イオン散乱は固体表面の構造解析に欠くべからざる手段であるが、イオンは固体表面で中性化を引き起こし、イオンの運動のエネルギーが小さい場合にはその確率は非常に大きくなる。従ってイオン中性化の理論的研究は実験結果の解析に応用するのに重要であるが、一方金属表面での中性化及びそれに対するイオン内電子間相互作用の効果は金属伝導電子の動的多体問題として理論的にも非常に興味がある。相互作用の問題は平衡状態でも非常に難しく、まして時間に依存する問題での難しさは言うまでもない。本年度の成果としては、古典軌道近似に基づく、時間に依存するニューンズアンダーソン模型を用い、先ず従来から解析を続けてきた平均場の近似に於いて残されていた課題、スピン分極の振る舞いの漸近解について詳しい解析性の吟味を行なった。漸近解に現われる非正則点は平均場に固有のもの以外は総て見掛けのものであることを示すことができた。次いで金属電子の電子空孔対展開を波動関数について行ない、イオンと表面の間のトンネル効果の結合定数について8次迄の逐次展開により、ある極限で電荷移動の非断熱効果には、相互作用の効果は初期条件のみに含まれ、時間変化には含まれないことを示した。最後に金属伝導電子の状態を少数のもので代表する。少数自由度系に対する大規模な数値計算を行なった。かなり限られたパラメーター領域ではあるが、平均場の近似がある程度よい近似であること、併し負イオンの確率に対しては当然のことながら平均場の近似はよくないことが示された。この最後の少数自由度系の計算はもっと広いパラメーター領域に対して厳密な結果を与えると期待される。数値的繰り込み群の応用への第一歩という意味を持つ。
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