研究概要 |
イオンビームを用いた軽元素および安定同位体(【^2D】,【^(13)C】,【^(15)N】,【^(18)O】)の検出法につき検討した。軽元素はPIXE(粒子励起X線分析,法によりSiよりZn位迄の元素について測定条件の検討を行った。ヴァン・デ・グラーフ加速器からの陽子ビームを真空ないしはヘリウムガスに導き、試料の照射を行う。発生したX線は4μmのマイラー膜の窓を通して外部に置かれたSi(Li)検出器にて測定する。陽子エネルギーは1.3〜1.5MeV,電流は10〜20nAで行っている。生物細胞をニュクリポアメンブランフイルターでろ過したものを試料としてP,S,Cl,K,Ca等の元素分析を行っている。その他は核反応に依る測定を行っている。主にD,【^(15)N】,【^(19)F】の測定を行った。重水素はタンデム型静電加速器によりD(【^(12)C】,Pγ)【^(13)C】反応により発生する3.09MeVのガンマ線を測定して定量した。【^(19)F】は同じく【^(19)F】(P,αγ)【^(16)O】反応を利用して定量した。【^(19)F】の応用例として、非イオン性巨大網状構造樹脂(XAD-7)へのBF~4の吸着度の測定を行なった。 他のイオンビームの応用として、イオンビーム照射により発生する単色X線の利用について検討した。セリウムをターゲットとしてよう素の吸収極大に対応するX線を発生させた。発生するX線のエネルギーはKα=34.57KeV,よう素のK吸収端は33.17KeVであり、陽子の入射エネルギー2.88MeVの時ターゲットから10cmの所で8×【10^7】photons/mC・【cm^2】のX線が発生する事を確かめた。この出力は50mr/mCに相当する。ウログラフイン(よう素造影剤)を細管に入れてX線撮影の試験を行なった。
|